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多様化する人材と単一化する会計基準--実証会計学で考える企業価値とダイバーシティ 第1回(全4回)

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明治大学商学部 大学院商学研究科
教授 山本昌弘

 日本企業のグローバル化が進んでいる。少子高齢化による内需の縮小、中国をはじめとする海外市場の拡大など、海外に進出しなければ企業が成長できない時代となってきた。

 こうした中、日本人だけで企業経営を行っていればよいという考えは過去のものになりつつある。振り返れば1980年代のバブル経済華やかなりし頃、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」として日本的経営が世界中でもてはやされたことがある。今にして思えば、そこで注目された終身雇用・年功序列・企業別組合の制度は、実はすべて日本人の男性正規雇用に限定されたものにすぎなかった。

 企業経営を日本人男性だけで行っていては、間違いなくグローバルでの競争力は低下していく。今後は、多様な価値観を有する人材を世界的な視野で活用していくダイバーシティ経営が求められている。

 さて、このダイバーシティ経営には、あるパラドックスが存在する。それは、グローバル化で人材の多様化が進む一方で、企業の業績を測るための「物差し」は逆に単一化していくということである。

 企業業績の物差しは「会計基準」である。従来、日本には日本の、英国には英国の会計基準が存在した。だが、2002年に米国の基準設定機関である財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準を作成する国際会計基準審議会(IASB)が会計基準を国際的に統合することに合意。05年にEUは国際会計基準に統一した。米国とEUの両基準もかなりの程度、統合されており、近い将来、事実上同一と見なせるところまで歩み寄ることになっている。

 日本でも1999年以降、会計基準の国際統合は急速に進展し、2010年代には国際会計基準の強制適用も検討されている。グローバル化された経済では、トヨタのライバルは日産やホンダといった日本勢だけではなく、米国やドイツさらには韓国や中国の企業とも直接競合する。

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