新型コロナ予防に有効な「正しい手洗い方法」 イメージは外科医の両手を上げたあのポーズ

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とはいえ、見えない汚れの洗い残しが気になると思います。目視する1つの方法としては、ブラックライトで発光する専用のローションを手に塗り、手洗い後ライトに手をかざすことで洗い残しをはっきりと見ることができます。

私自身、感染症学の授業でこの方法を使ってチェックしたところ、丹念に手洗いをしたつもりでしたがやはり洗い残しがありました。

「指の間の付け根」「手のひらや指の側面」「爪の周囲」がその主な場所です。ただ、ブラックライトなどをご家庭で用意するのはなかなか難しいので、上記のような洗い残しをしやすい部分を意識しながら手洗いをすることで、よりよい手洗いにつなげていただけたらと思います。

なお、手洗いのタイミングは帰宅時や調理前後、トイレの後などこれまで通りで構いません。こまめな手洗いの習慣は大切ですが、過敏になりすぎると逆に手荒れの原因にもなります。回数よりも、1回1回きちんと手順を踏んで洗うようにしましょう。手洗い後は自然乾燥させず、清潔なタオルやペーパーで水気を切ることも忘れずに。

うがいはうがい薬のCMのように「アー」と声を出すように何度かすすぐ方法が一般的ですが、「オー」と声を出す方法も喉の奥まで水が行き渡るのでおすすめです。「アー」「オー」と何度か繰り返すことで十分なうがいができるでしょう。水を口に含んでクチュクチュとすすぐことも口腔内を清潔に保つうえで効果的です。

また、「鼻うがい」をすれば口だけでなく鼻の粘膜に付着した細菌やウイルス、そして花粉を洗い流すことが可能です。この時期花粉症がつらい方はぜひ試してみてください。

マスク、正しく着けていますか?

交通機関や街中でマスクをされている方々は、パッと見ただけでも、間違った着け方をしている方がかなりいらっしゃいます。品薄のなか折角苦労してマスクを手に入れても、間違った使い方をしていてはもったいないと感じます。

すぐわかるのは鼻を覆っていない方。これでは花粉や他人の咳やくしゃみなどの飛沫が鼻の粘膜から入ってしまい、マスクの意味がありません。眼鏡を掛けている方は、自分の吐息でレンズが曇るのを避けたい気持ちでずらしたくなるかもしれませんが、マスクを鼻にぴったりフィットさせれば息漏れを防げます。マスクは鼻まで覆い、ワイヤーのあるものは、しっかりと折り曲げて使いましょう。

裏表、上下を逆にしている方もよく見かけます。マスクの正しい方向は耳掛けの紐の位置や、プリーツの上下など、ある程度決まっていますがメーカーによって異なるようです。「マスクのロゴが読めるほうが内側」など意外とわかりやすく書いてあるので、1度パッケージの説明書をよく読むことをおすすめします。

なお、基本的に不織布(使い捨て)マスクの使い回しはいけません。目には見えなくても細かい線維がズタズタになり、飛沫などをブロックする力はかなり失われているからです。とはいえ、マスクがどうしても手に入らない場合は、非常の措置として、洗うよりも肌に触れる面に、小さく切った清潔なガーゼやキッチンペーパ―など挟みそれをこまめに取り換えるほうがよいかもしれません。

いかがでしたでしょうか。連日新型コロナウイルスについてのさまざまな報道が各種メディアで飛び交っていますが、このようなときだからこそ、必要以上に敏感にならず、普段の感染予防の習慣を改めるよい機会と捉えていきましょう。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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