カーボン・プラスチックフリー空港実現目指す 地域・国際社会と共生しながら取り組みを推進
関西の3空港一体となって環境負荷低減に取り組む
関西国際空港(以下、関空)、大阪国際(以下、伊丹)空港、神戸空港という関西の3つの空港を運営する関西エアポートグループは、先進的な環境対策でも業界を牽引する存在である。国際空港評議会(Airports Council International)がCO2排出量削減に取り組む空港に付与する「空港カーボン認証(ACA:Airport Carbon Accreditation)」のレベル2を、2016年に関空と伊丹空港が国内で初めて取得したのもその一例だ。その後、18年にはレベル3にアップグレードし、神戸空港もレベル2を取得している。ACAは空港向けの国際カーボン管理基準として全世界に広がっており、関西エアポートはそうした国際基準への対応においても積極的だ。
市街地にある伊丹空港は、周辺地域の騒音軽減と生活環境改善のため、環境対策に取り組んできた歴史を持つ。その解決策の一環として泉州沖5キロメートルの海上に建設された関空は、「環境にやさしい空港」を目標に、造成段階から環境対策が施され、成り立ちから環境保全と地域との共生を前提にしてきた。その経緯を踏まえ、3空港一体となっていっそう環境負荷低減を推し進めるため、同社は「関西エアポート環境宣言」とともに18年、5カ年の「Oneエコエアポート計画」を発表した。
「環境への負荷を最小限にとどめながら、地域、そして国際社会と共生する空港として、持続的に発展していくことを目指しています」と説明するのは、環境推進部門でグループリーダーを務める伊藤利加氏だ。同計画は国際社会共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)にも貢献するものになっている。空港は国外から訪れた人がその国の印象を最初に受ける場所で、国際社会につながる玄関でもある。グローバルな視点で持続可能な社会への貢献を示すことはとても重要だ。
水素プロジェクトを推進、次代のZEV化を牽引する
計画では「気候変動への対応」「資源循環」「周辺環境との共生」「環境マネジメント」の4つの方針に8つの項目を設置。項目ごとに22年度までの達成目標を設定して取り組んでいる。
まず「気候変動への対応」として、省エネルギーの推進と温室効果ガス排出抑制に取り組む。関空ではアジアの空港で最大級のメガソーラーが運用され、同空港で使用する総電力量の約1割に相当する電力を発電している。今年は関空ターミナル2の屋上にもソーラーパネルを設置。自家消費量も増やしていく。