「自動運転」が100%安全になる日は来るか? そのカギを握る企業、dSPACEに迫る
CASE時代のカギを握るのは技術か、データか
今、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(シェアリングとサービス)、Electric(電動化)をキーワードにしたCASE(ケース)時代が到来するといわれる中で、多くの自動車メーカーにとって、その構成要素の1つである自律走行を可能にする自動運転技術の開発は喫緊の課題となっている。実際、この自動運転技術は日々進化を遂げており、5段階に分けられた自動運転レベルのうち、ドライバーが主な運転を実施するレベル1、レベル2はすでに量産中であり、ドライバーがバックアップするレベル3は量産開発中。ドライバーのバックアップが要らないレベル4、レベル5はまだ研究開発段階という状況にある。
こうした自動運転技術開発の課題は、技術レベルが上がるたびに、システムが高度化・複雑化し、その開発の難易度がどんどん高まっていくと同時に、開発した高度なソフトウェアがエラーなく機能するかどうかを見極めなければならないことにある。つまり、確実な自動運転の安全性を実現するためには、ソフトウェアがさまざまなケースできちんと機能するかどうか、そのアルゴリズムをテストして検証する必要があるのだ。
この検証ツールを多くの自動車メーカーに提供しているのが、dSPACEだ。1988年にドイツで創業して30年以上の開発実績を持ち、日本では2005年に日本法人を設立した。欧州を中心に世界で約1800名以上の社員を抱え、そのうち1400名はエンジニアという研究開発型企業だ。世界的な自動車メーカーや自動車部品メーカーをはじめ、多くのクライアントを持ち、日本でもその存在感がますます高まっている。そんな同社が今、自動運転技術開発の課題解決に注力している。dSPACE Japanソリューション技術部部長の宇野重雄氏は次のように語る。
「自動運転技術を開発していくためには多くの課題があります。とくに自動運転機能のテストでは、数多くの未知の要因があり、無数に存在する現実世界のトラフィックシナリオを検証するには、少なくとも数億キロメートル、さらに確実性を高めるには数十億キロメートルものテスト走行が必要といわれています。技術レベルが上がれば上がるほど、テスト作業は指数関数的に増大していくのです。そのため、多くの自動車メーカーにとっては、その検証をいかに効率的に行うか、その課題解決がカギとなっているのです」
自動運転技術の向上とともに、これまでのような人海戦術では追いつかなくなっているうえ、実車でのテストは時間とコストがかかり、再現性もなく、危険なテストも含まれるためリスクも大きすぎるという問題点があるのだ。