データ活用「失敗する企業」と成功者たちの差 十分な成果を出しているのはたった9%

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「先導者クラスターは全体の9%しかいません。彼らの特徴は、データ・プライバシーの確保や、利用制限のあるデータの破棄など、データ活用に関する規範意識が非常に高いという点です。デジタル時代の競争優位を確立するためには、顧客からの信頼が最も重要な条件の1つだという認識があるのです」(岡村氏)

「先導者」は、とくに「始動者」と比較して卓越した成果を実現している。彼らのうち8割近くが、競合他社を上回る成果を上げている

ここで重要になるのが、顧客データの活用だけでなく、自社データの活用による経営レベルの変革だ。しかしながら、データに基づく経営と一言でいっても、一足飛びにはいかないのが現実だ。

前述の「グローバル経営層スタディ」によれば、まずデータを「信頼」する組織文化をつくりあげることが、データ経営における重要なカギとなる。データに基づく意思決定や判断が、経営と現場の両方で徹底できなければ、絵に描いた餅で終わってしまう。先導者は、高い専門性を持つIT人材だけでなく、多くの社員にデータを扱う権限を広く与え、またデータ活用に必要な能力の開発にも尽力している。結果、「データを信頼する」組織文化の確立にも成功するというわけだ。

「先導者」のうち8割近くは、充実したデータを持ち、かつ経営判断に際して重視している

「逆に、始動者クラスターでは、データを信頼する組織文化が育っていません。『意思決定の質を向上させるためにデータを重視している』と回答した始動者は34%。先導者と比べて半分以下です。結果、『意思決定のために必要なデータが充実している』と回答した始動者は38%、先導者は79%と、大きな差がついてしまっています」(岡村氏)

「誰もがデータ活用できる状態」をつくるのが第一歩

データを社内で広く共有することが「先導者」となる第一歩だ

先導者クラスターは、ITの専門家だけでなくすべての社員にデータを共有したうえで、その活用を促進している。「誰もがデータを活用できる状態」を創出してサイロ化を防いだり、社員が必要とする分析スキルやツールの提供を積極的に行ったりすることが、成功への第一歩だといえよう。

データの収集だけでなく、利用や共有にあたってのルール決めも重要なポイントだ

近年は、データ分析やアプリケーション開発の専門技術を持たない社員でも、スムーズにITツールを活用できる環境が出来上がりつつある。各現場のOT(Operational Technology:業務技術)に精通した社員が、それぞれの業務の高度化や自動化のためにITを活用することができれば、経営・組織のDXは一気に加速することになる。

すでに先導者は、従来とは抜本的に異なる考え方と取り組みをもって、事業と経営の変革(DX)を推進している。「先導者を目指す企業にとって最も重要なことは、データ活用のユースケースや方法論について、できるだけ多く学習・理解し、自社にどう生かせるかを具体的にイメージすること」だと岡村氏は語る。

今回で20回目を数える「IBMグローバル経営層スタディ」。まさに、経営層必読のレポートだ。

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