企業がサステナブルな存在であるために(後編) 自治体と企業、学生のマッチングで見える未来

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本企画では、エプソン販売・PaperLabの協力のもと国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、どのようにSDGsを意識して企業活動をするべきか、その実例やレポート、価値ある提言などを紹介する「SDGs Lab」Webマガジンを月2回発刊します。

地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。

「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。第10回の今回は、前回に引き続き、博展の鈴木紳介氏に企業がサステナブルな存在であるためにはどうすべきかについてお話をお聞きしています。

―前回に引き続き、来月の2月に横浜で行われるサステナブル・ブランド(以下SB)国際会議についてお聞きします。今回の目玉は何でしょうか?

博展
Country Director Sustainable Brands Japan
鈴木紳介氏

鈴木 まず、グローバルの文脈で新たに起きている2つの動きをご紹介したいと考えています。1つは、「SB Brand Transformation Roadmap」です。これは、サステナブルなブランドを目指す上で、自社の現在の立ち位置や進捗が客観的評価としてどこにあるのかを、可視化するためのツールです。米国のメンバーシップから生まれたもので、P&Gなど名だたる企業が参加し、ロードマップは日々更新されています。これを日本企業でも活用できるのではないか、ということを探っていこうと思っています。

もう1つは「#Brands For Good」。これも同じく、米国で生まれたものですが、賛同した米国の大手企業数社が集まり、消費者の購買行動を変えていくために行う広告宣伝活動を指しています。この活動に賛同しているメンバーの広告宣伝費を合わせると、約8兆円あるそうで、これは非常に強い影響力になりえます。これだけの発信力を持つからこそ、消費者に対する啓発までやることが企業の役⽬ではないかという発想から⽣まれています。

―日本独自の動きもあるのでしょうか。

鈴木 はい、もちろんあります。キーワードは「地方創生」ですね。これはほかの国のSB国際会議では出てきませんが、SDGsを日本で語るときには、欠かせないキーワードと言えます。日本政府が、この2年間で60の自治体を「SDGs未来都市」に指定しました。これが示すように、自治体にとってSDGsを活用したブランディングは、重要なものになりつつあります。

そこで、SB国際会議では、前回から「日本創生SDGsモデルをつくろう」と銘打ち、「未来まちづくりフォーラム(以下、未来まち)」を同時開催し、官民が一体となって、持続可能なまちづくりを考える機会を提供しています。未来まちでは、自治体と企業のネットワーキングや、成功事例の発表を行っております。

手探りで始めた前回でしたが、すでに多くの自治体の首長や、SDGs推進担当の方にご参加いただきました。今回の横浜では、さらに多くの自治体関係者にご参加いただきたいと考えているため、併催する「全国SDGs未来都市ブランド会議」と併せてご招待することも検討しています。政府が主催する会議とは違い、SB国際会議には企業のリーダーも多く参加されます。ぜひ企業とコラボレーションをすることも視野に入れて、自分たちだけではできない、まちのブランドづくりに取り組んでみていただければと思います。例えば防災に強い、インバウンドに優しい、あるいは健康福祉に力を入れているまちづくりなど、可能性を広げてみてほしいですね。

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