企業がサステナブルな存在であるために(前編) サステナブル・ブランド国際会議とは何か
――SB国際会議では、具体的にどのような活動を行っているのですか。
鈴木 フラッグシップのSB国際会議が年に1回開かれて、そのほかに13カ国14都市で開催されます。日本でも年に1回開かれますが、それだけでは「忘れた頃にやってくる」イベントになってよろしくない。そこで、日本においては会議のほかにも2つの活動をしています。
1つは、Webベースのニュースサイト「サステナブル・ブランド ジャパン」での情報発信です。本家・米国の「SB.com」はサステナビリティ分野のインフルエンサーサイトとしてトップクラスである200万人のユニークユーザー数(博展調べ)を誇りますが、その日本版ですね。
もう1つは、イベントのコアになる企業が自主的に集まって研究課題に取り組む「SB-Japanフォーラム」です。日本はサステナブルという言葉こそ使っていないものの、もともと「三方よし」の文化があるんですよね。これまでやってきたことを、どのようにブランド価値に結び付けて価値を出すのかということを2カ月に1回集まって議論しています。これら3つの活動は米国の形式をまねたもので、グローバルでこの3つをやっているのは米国と日本だけです。
――日本企業の反応はどうでしょうか。
鈴木 活動を始めた当初と比べると、大きく3点の変化を感じています。1点目は来場者の数です。2016年にテスト的に行った第ゼロ回では354人、そこから年々増加し、19年の第3回では2240人の方に参加していただきました。関心が高まっていることを強く感じます。
そして2点目が参加いただく方の属性です。こちらに関しては厚みが出てきたという気がしています。16年の第ゼロ回では、企業のCSR担当の方を中心に参加していただきましたが、社会的な課題に対する取り組みを、ブランド価値に結び付けることを目指しているSB国際会議としては、CSR担当の方はもちろんのこと、マーケティング担当の方にも来ていただきたいと思ったのです。その反省を生かし、プロモーションに工夫を凝らした結果、17年からは参加者がCSR担当の方、マーケティング担当の方、そのほか3分の1ずつ、という理想の構成比になりました。18年も構成比はそのままに温度感は高まり、3回目を迎えた19年には、さらにテクノロジー部門や、営業のトップラインという方たちも顔を見せてくれるようになりました。研究開発や営業の方々のSB国際会議への関心が高まってきたことはうれしい限りです。
3点目が参加いただく方の目的です。参加者の熱も高まるにつれて、SB国際会議に参加する目的も情報収集から自社の課題を解決するパートナー探しといったような、よりアクションに近いものに変化してきました。
SB国際会議はマッチングイベントでもあるので、とてもよい傾向だと感じています。
――日本でもSB国際会議への関心が高まっている背景は何でしょうか。
鈴木 やはりSDGsが大きいですよね。われわれがSB国際会議を日本に招致すると決めた数カ月後にSDGsが発表されて、当時は「いったい何だ?」と遠巻きに見ていた人が多かったものの、その後、とても大きなムーブメントになりました。世界的に見ても日本の盛り上がりは大きく、SDGsを企業価値に生かそうと考えている企業も多い。その流れにうまく乗れたのではないかと分析しています。
1/29公開予定・「企業がサステナブルな存在であるために(後編)」に続く
【場所】パシフィコ横浜
本文で採り上げられている、サステナブル・ブランド国際会議は、今年は横浜で開催予定だ。また、同時開催される第2回未来まちづくりフォーラムでは「日本創生SDGsモデルをつくろう」と銘打ち、SDGsに基づいた持続可能なまちづくりや、新たな連携・協業を生むマッチングの機会が提供される。
ステージでは、エプソン販売の紙再生機「PaperLab」を導入した岩手県一関市の勝部修市長と、コンサルタント見山謙一郎氏の対談が実施されるなど見どころも多い。展示では、実機が稼働している様子も見ることができる。
イベントはどちらも事前登録制で、席数が限られるので、詳しくはサイトを参照のこと。
サステナブル・ブランド国際会議開催概要はここから