企業がサステナブルな存在であるために(前編) サステナブル・ブランド国際会議とは何か
地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。
「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。第9回の今回は、日本におけるサステナブル・ブランド国際会議を主催する博展の鈴木紳介氏にSDGsをどのように企業ブランディングに活用していくべきかについてお話をお聞きしました。
――来月の2月に横浜で開催されるサステナブル・ブランド(以下SB)国際会議ですが、そもそもSB国際会議とは、どのようなものでしょうか。
鈴木 SB国際会議は2006年に米国から始まりました。われわれのカウンターパートであるサステナブル・ライフ・メディア社のコーアン スカジニアという女性が創始者です。彼女はもともとメディアに携わっていましたが、ハリケーン・カトリーナの被害を目の当たりにして環境保護活動に取り組むようになりました。
企業や団体がひとたび社会課題に取り組んでも、「今年は業績が悪いからやめます」では効果は出ません。社会課題を解決する活動を継続的なものにするには、活動をブランド価値の向上につなげて、「活動すれば企業の利益になる」という状況をつくる必要があります。では、どうすればサステナビリティをブランド価値に接続できるのか。彼女の呼びかけに応じてSB国際会議でそうそうたる顔ぶれの世界的企業が集まり、その方法論について研究開発を始めたのがスタートでした。
――SB国際会議を日本に招致したのは鈴木さんだったそうですね。どのような経緯で招致されたのでしょうか。
鈴木 私ども博展はもともとイベントのブース制作が中心の会社でした。イベント業界での実績はあるのですが、展示会のマーケットには限界があります。将来を考えると、ブース制作だけではなく、イベントを活用したマーケティング事業など、ほかの領域にも事業を広げていくべきだと考えていました。
いろいろ模索していた時期に出合ったのがSB国際会議でした。16年、たまたまラスベガスに出張する仕事があり、関係者の勧めもあって、その帰りに、サンディエゴで開かれていたフラッグシップのSB国際会議に参加したのです。
最初は聞き慣れないことばかりで内容がよくわかりませんでした。そこで、会場で日本人を探したのです。当時は、世界中から1500人が参加していたでしょうか。それだけいれば日本人はすぐ見つかると思ったのですが、参加していたのは私のほかに4人のみ。1人はコンサルタント、1人は個人的に参加された現地在住の方で、日本企業からは大手衣料品会社の社員の方が2人来ているだけでした。
世界の企業はサステナビリティを重視しつつあるのに、日本企業が知らぬ間に取り残されてしまってもいいのか。会場を見渡すうちにそのような危機感を覚えて、日本でも開催できないだろうかと検討し始めたわけです。