先進技術が支える情報通信産業のBCP

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情報通信ネットワークの
耐災害性強化へ

政府も動き出している。2011年度に「情報通信ネットワークの耐災害性強化のための研究開発」を行うことを決定。災害時の携帯電話などの通信の輻輳を軽減する技術(つながるネットワーク)や、通信・放送インフラが地震や津波などで損壊したときも、自律的にネットワークを構成し通信・放送を確保する技術(壊れないネットワーク)の研究開発が目的だ。いわば、情報通信産業のBCPを実現するための技術の研究ともいえる。

政府の決定を受け、総務省は11年12月、研究課題についての提案を公募した。このとき設定された研究課題は、①大規模災害時における移動通信ネットワーク動的通信制御技術、②大規模災害時における通信ネットワークに適用可能なリソースユニット構築・再構成技術、③大規模災害においても通信を確保する耐災害ネットワーク管理制御技術、④災害に強いネットワークを実現するための技術、⑤災害時に簡易な操作で設置が可能な小型地球局(VSAT)、⑥災害情報を迅速に伝達するための放送・通信連携基盤技術、⑦災害情報を高圧縮・低遅延で伝送する技術、⑧災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(可搬型緊急用ヘッドエンド設備)、⑨災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(幹線応急復旧用無線伝送装置)、⑩多様な通信・放送手段を連携させた多層的な災害情報伝達システム、という10テーマ。大学や企業、研究機関などが応募し、それぞれのテーマについての提案が採択され、実際に研究開発・実証実験を行う委託先が決定した。複数の企業や大学などが共同で応募し、委託先になったケースも多い。現在は、研究開発成果の展開に向け、受託者だけでなく、総務省や情報通信研究機構等が設立した「耐災害ICT研究開発協議会」などによる取り組みが各地で精力的に進められている。

この中の、「災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム」の研究開発を受託した京セラコミュニケーションシステム・エンジニアリング営業本部の菅佐原幸夫ワイヤレス営業部長は、こう語る。

「多くの企業がBCPへの取り組みを進めている中、情報通信産業のBCPではネットワークを二重化して万が一のときにも情報提供を継続できるようにする取り組みが増えています。CATVにしてもインターネットにしても、災害が発生したときこそ切実に情報を求められるのですから、仮に被災してもすぐに復旧できるような態勢を整えておくことが求められている証左とも言えるでしょう」。

ネットワークの切断を防ぐ。万が一ダウンした場合には早期に復旧させる……。さまざまなセクターが連携することによってテクノロジーなどが進化を果たし、情報通信産業のBCPに寄与している潮流に、これからも注目だ。