投資家はもう気候変動無視企業を選ばない(後編) 気温0.5℃上昇が暮らしに与える影響とは

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本企画では、エプソン販売・PaperLabの協力のもと国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、どのようにSDGsを意識して企業活動をするべきか、その実例やレポート、価値ある提言などを紹介する「SDGs Lab」Webマガジンを月2回発刊します。

地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。

「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。第8回は、CDPジャパン シニア・マネジャー(環境学博士)高瀬香絵氏インタビュー後編です。前回に引き続き、地球温暖化への警鐘、気温0.5℃上昇が地球に与える危機的状況について、専門家の立場からお話をお聞きしました。

―高瀬さんがもともと気候変動に関心を持ったきっかけは何ですか?

CDPジャパン
シニア・マネジャー(環境学博士)
高瀬香絵氏

高瀬 高校生のころですね。NHKで気候変動枠組条約が特集された番組を見て、これはまずいなとショックを受けたのです。それで、慶応大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)に入学して気候変動についての勉強をしました。政府税制調査会の会長もお務めだった加藤寛先生のところに行ったら「それを解決するのは環境税だ」と言われて研究を始めて、次に茅陽一先生のところでエネルギーシステムの研究に取り組みました。

当時、修士論文のテーマの一環でモデル計算をしたら、なんと原子力と石炭が最もありえる選択、という結果になったことがあります。当時は再生可能エネルギーはコストが高かったのですが、今のように下がるということは誰も予想していなかった。茅先生は同じ再エネでも宇宙太陽光を推していて、それについても喧々囂々と議論をした思い出があります。それから先生の紹介で、日本エネルギー経済研究所に。いったん退職した後に大学での研究に戻り、2015年からCDPに関わっています。

―現在は、どのようなお仕事を担当されていますか。

高瀬 CDPはいま約300人の職員がいますが、根っからの研究肌も10人くらい世界各地にいます。私はアクションリサーチ、つまり行動につながるリサーチをやりたいという立場でCDPに参画しています。

具体的には、気候変動の質問書やSBT(Science Based Targets)を担当して、企業と対話をしています。CDPは企業にレポーターサービスも提供していて、ご要望があれば、CDPへの回答を踏まえて、「ここにもっと取り組めば改善しますよ」とか「有価証券報告書への開示はどうですか」と助言をしたり、SBT認定を受けるための支援を行っています。企業のトップの方と議論させてもらう機会も多いですよ。みなさん真剣で、時には果たし合いのような雰囲気になることもあります(笑)。

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