自治体が「いいね!」で探る地方活性の一手 神戸、秋田、岩手…とある商店街の成功事例

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仙北市 総務部 総務課 文書広報係
畠澤 史佳

「当市では、2013年7月10日の投稿がFacebookによる情報発信のスタートです。市のホームページだけでなく、もっと多くの方々に情報を届けたいという考えで始めました。内容は、テキストと画像を組み合わせたイベント告知が中心です。何よりも気軽に情報発信できること、フォロワーの力によってどんどん拡散していくことが、Facebookのメリット。とはいえ、運用はまだ完璧ではありません。他自治体の取り組みも参考にしながら、よりよい活用方法を模索していきたいです」

大仙市 企画部 広報広聴課
熊谷 憲一

日本三大花火の1つ「大曲の花火」で有名な大仙市ではどうか。同市の熊谷憲一氏は、情報発信レベルの向上に大きな期待を寄せている。

「市職員は『情報発信は広報担当者がやるものだ』という意識を抱きがちです。しかし、Facebookなら誰でも、いつでもどこででも発信できる。職員全員が広報を担うのだという気持ちが醸成されますし、そうなれば自然と市の情報発信レベルも上がると思います。また、セミナーをきっかけに、普段なかなか交流を持てない他自治体の広報担当者とつながりが生まれたことも非常に有意義なことです。広報誌とは異なる、読者1人ひとりにダイレクトに訴えかけられる貴重なツールとして、これからさらにFacebookを活用していきたいです」

仙北・大仙の両市では、セミナーというリアルイベントをきっかけに新たなつながりが生まれ、情報交換やノウハウの共有を行う機運が高まっているという。

90歳超のシニアがSNSを始める例も

続く初心者・シニア向けセミナーでは、松延健児氏が講師となって、シニアがFacebookを活用するメリットや基本的な使い方について説明した。複数のNPO法人でアクティブシニアのコミュニティー活動に携わり代表を務め、シニアに向けたFacebook利用のサポートを長年行ってきた「伝道師」の異名をもつ松延氏。Facebookの特徴について「まず実名登録が基本ですから、Web上のコミュニケーションにも安心感がありますね。それから、長期的かつ大人数のグループをつくりやすいというメリットも。さらにグループは非公開設定にできるという点も、まさにシニアにぴったりのSNSだと思います」と語る。

シニア向けセミナー参加者には、Facebookページへの投稿の仕方や「いいね!」のつけ方などについて、松延氏の熱心なレクチャーがあった。満足げな参加者たちの笑顔が印象的だった

セミナーでは実際に、Facebook上に参加者をメンバーとするグループを作成。メンバーは松延氏の説明に沿って、その場で写真を投稿したりコメントし合ったりと、Facebook上でのコミュニケーションを体験した。グループのページには、「すてきな写真ですね」「投稿は思ったより簡単でした」など、参加者たちの素直な感想が飛び交った。

シニアがFacebookを活用する意義、それを支援する意義とはどこにあるのだろうか。

松延 健児
(株)エクサネット代表取締役。「NPO法人プラチナ・ギルドの会」「NPO法人フォトカルチャー倶楽部」、日野原重明記念「新老人の会」東京などでアクティブシニアのコミュニティー支援に携わる

「人生100年時代といわれる今、高齢になっても心身共に健康に、生き生き暮らすことが重要です。とくに心の領域は、コミュニケーションの量と質にかかっている。毎日、周囲と何げなくコミュニケーションを取るだけで、生きるモチベーションもエネルギーも高まります。私の周りでは、海外留学した孫と連絡を取りたいといって、90歳を過ぎてSNSを始めた人もいます。新しいことに積極的に取り組む人は、いつまでも若々しいですね」(松延氏)

年齢を重ねるにつれて、行動範囲が狭くなったり家族や友人が減ったりと、どうしても孤独になりがちだ。Facebookをはじめとするテクノロジーの力を使えば逆に、世代の異なる友人をつくれたり、昔の知り合いに再会できたりと、人間関係を豊かにすることができる。Facebookの「つながる力」は、豊かな日常生活を形づくる1ツールとして、日本全国に定着しつつある。

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