電気自動車で地域課題を解決(後編) 災害時の電気自動車活用、台風15号の場合

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ちなみに日産リーフは62kWhのバッテリーを搭載しており、その容量をわかりやすく言えば、リーフ1台でスマホ6200台分を充電できる計算になる。

「私たちが災害連携協定で組んでいるシナリオでは当初、もっといろいろな用途を想定していました。例えば、情報取得のためのテレビ、パソコン、プリンター、携帯のほか、暑さ対策のための扇風機やエアコン、夜間照明対応の投光器などです。しかし、今回の経験で言えば、実際にはスマホと扇風機のニーズが最も多かった。電気自動車自体の再充電については各地の販売会社の充電インフラを活用することを想定していましたが、電気自動車を再充電しなくてもサポートできることがわかりました」

そう語る大神氏が今回の支援活動で改めて驚いたのが、停電の長期化だった。

重要なのは、現場対応能力

「今回の経験で停電の長期化対策についても考慮しなければならないことに気づきました。または、電気自動車が実際にどのように使われるのか。今回の経験を基に実態に合った対応マニュアルに、作り直しているところです」

同時に、大神氏は災害時の対応について次のようにも言う。

「仕組みを考えて動くとどうしても遅くなります。災害時に問われるのは、やはり現場対応能力です。まずは交通網が安全かどうか。もし信号が止まっていれば夜間は危険ですので、日中のうちに動くことが必要になります。また、現地では情報が錯綜します。現場により近い情報を元に、どう行動するのか。より早く、より多くの方に電気を供給するためにどうしたらよいのか。」

「ブルー・スイッチ」の取り組みをもとに、大神氏はさらに柔軟性のある体制を築いていきたいと語る。

「災害時に最も大事なことは、困っている皆さんの”自助力”を高めることにあります。その意味でも、日産は皆さんの自助力を向上させる”共助”の役割を果たしていきたいと思っています。今回の取り組みでも、本当に電気が必要なところに電気を供給していたのか。絶対の確信はありません。そこを改善していくためにも、自治体との連携の組み方をさらに工夫していきたい。これからも災害弱者のサポートを目指し、多くの公共団体と情報交換をしながら支援活動の内容を向上させていきたいと考えています」

*インタビューは2019年10月3日に行いました。このたびの台風に被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます