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電気自動車で地域課題を解決(前編) 日産の日本電動化アクションとは何か?

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  • エプソン販売 制作:東洋経済ブランドスタジオ
本企画では、エプソン販売・PaperLabの協力のもと国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、どのようにSDGsを意識して企業活動をするべきか、その実例やレポート、価値ある提言などを紹介する「SDGs Lab」WEBマガジンを月2回発刊します。

地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。

「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。第5回は、電気自動車(EV)の価値を活用し、防災、過疎化などの地域課題の解決に取り組む日産自動車日本事業広報渉外部 担当部長の大神希保氏に話をお聞きしました。

電気自動車の特徴を生かす「ブルー・スイッチ」

日産自動車が進める日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」に注目が集まっている。「2018年5月に、パートナー(自治体・企業)と協力し、電気自動車(EV)を活用し地域課題を解決する取り組み『ブルー・スイッチ』をスタートしました」と語るのは日産自動車の日本事業広報渉外部 担当部長、大神希保氏。

2019年1月に発売した電気自動車「日産リーフ e+」は、航続距離が458kmを達成し、国内の充電器設置数もガソリンスタンド箇所数と並んだ。すっかり社会の交通インフラとして浸透した電気自動車の特徴として、少ない環境負荷、優れた静粛性がよく知られているが、生活電源にも活用できる大容量蓄電池としての機能や、充電インフラ整備のしやすさはまだ広くは知られていない。これら電気自動車ならではの価値で、地域の防災、環境、エネルギーマネジメント、エコ観光、過疎化対策といった地域課題を解決しようとする取り組みが、日本電動化アクション「ブルー・スイッチ」だ。

この「ブルー・スイッチ」は、SDGsやその理念につながるものが多い。大神氏が続ける。

日産自動車
日本事業広報渉外部 担当部長
大神希保氏

「日産自動車は従来より“人々の生活を豊かに”というビジョンの元、『ゼロ・エミッション(走行時のCO2排出ゼロ)』社会の実現を目指してきました。これは、SDGsの13番『気候変動に具体的な対策を』につながるだけでなく、電気自動車を地域が抱える防災や過疎対策に役立てることで11番の『住み続けられる街づくりを』などの実現にも貢献できます。それらを17番『パートナーシップで目標を達成させよう』の理念で自治体や企業とパートナーシップによって取り組んでいます。

また、SDGsは『共通言語』といえるほど浸透しつつあります。自社の具体的な取り組みとSDGsの目標を紐づけすることで、自治体や企業、団体などとのパートナーと円滑なコミュニケーションが可能となります。

ですから、防災やエネルギー、観光といった地域の課題解決など、『ブルー・スイッチ』を通してSDGsを実現していくという私どもの姿勢を明確にできたのではないでしょうか」

実際、「ブルー・スイッチ」の活動内容を見ると、SDGsで掲げられている4番の目標「質の高い教育をみんなに」や7番の目標「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」をはじめ、全17目標とつながる取り組みも少なくない。

「その中で、とくに今、力を入れているのが11番の目標『住み続けられるまちづくりを』です」と大神氏は強調する。「この目標を実現するためにも、私たちは災害時の電力供給を可能にする“走る蓄電池”の可能性を拡大することを目指しています。とくに自治体は防災に関する関心が高く、熊本市をはじめ多くの自治体と連携協定を結んでいます」

熊本市と日産自動車の連携協定では、日産リーフを熊本市の公用車として利用することでCO2排出量を削減するほか、災害による停電時に日産リーフを無償貸与、電気自動車からの電力を市内19カ所の避難所で使用することなどが記されている。

「日頃から“もしものとき”を想定しても、用意できるものは心理的にも経済的にも限りがあります。例えば、災害時に必要とされる定置型蓄電池は非常に高価であり、コスト面から見ても実際に使いやすいのは電気自動車が現実的です。いわば、“もしものとき(災害時)”と“いつものとき(平常時)”を併用して利用できるのが電気自動車のメリットなのです」

まずニーズを聞いて、ソリューションを考える

こうした自治体との連携は広がりを見せている。過疎化対策もその1つ。福島県いわき市三和・田人地域とは、高齢化や過疎化が進む同市山間部の高齢者の移動手段を確保し、交通弱者をサポートすることを推進している。その仕組みとはミニバンタイプの電気自動車である日産e-NV200を4台利用して、約30名のボランティアが日常の買い物や通院が困難な高齢者などに移動サービスを提供するというもの。過疎地域であっても送電網によってエネルギーを確保できる電気自動車の特徴を生かした取り組みだと言えるだろう。今では同地域の65歳以上の約17%に当たる100名が利用している。

そればかりではない。長野県乗鞍高原では、「星と月のレストラン」と銘打ち、こちらもe-NV200を活用して、「アルプス山岳郷 EVツーリズム」を実施している。電気自動車を用いてレストラン内の照明や調理に必要な電力供給を行っているほか、顧客の送迎までをこなす。まさに“走る蓄電池”である。CO2 排出ゼロのクリーンな移動手段で現地を訪れ、静かな空間を実現することで、豊かな自然を味わえる。このようなプレミアムな時間を演出することだろう。魅力的な観光資源や環境があるにもかかわらず、電力インフラが整っていないために人を呼べなかったような場所でも、巨額の投資をせずに観光地化できるというメリットがある。しかも、電気自動車を使用することによって「環境にやさしい」という特徴を打ち出すことができれば、ブランド価値の向上にも寄与するであろう。

現在、「ブルー・スイッチ」を通じて日産と自治体が結んでいる災害連携協定は、全国で12件あり、2019年度内に30件を目指している。それ以外にも、屋根ソーラー発電と電気自動車活用による電力自給自足(エネルギーマネジメント)や、電気自動車を活用した環境教育として日産わくわくエコスクールを実施するなどさまざまな取り組みを行っているため、週半分は地方出張を続けているという大神氏は次のように話す。

「SDGsの浸透もあって、地方を中心に自治体の反応は非常にいいですね。私たちは、商品軸で考えるのではなく、自治体の皆さんのニーズを聞くことから始まります。そこから日産ができるソリューションを考えていく。日産の強みは、10年以上取り組んできた電気自動車に関するパイオニアとしてのノウハウ、スピード感のある動き、そして発信力だと思っています。そうした強みを生かして、日産は自治体の皆さんが掲げるビジョンを実現できるように共に歩んでいきたいと考えています」

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