生産性を高める情報共有革命 シリーズ働き方改革セミナーレポート

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2019年春に施行された「働き方改革関連法」により、原則として月45時間、年360時間の残業時間上限が順次、企業に対して罰則付きで課されることになった。人口減少によって働き手を雇用することが難しくなる環境の中で、売り上げ・利益(アウトプット)を維持・成長させながら従業員の労働時間(インプット)を減らすには、生産性(=アウトプット÷インプット)向上が不可欠だ。東京・千代田区で開かれた「シリーズ働き方改革2019Autumn」は、多くの無駄な時間が費やされる情報共有の改善を軸に、働き方改革の真の目的である生産性向上の方策を考えた。
主催:東洋経済新報社
協賛:Dropbox Japan、 SB C&S

オープニング
生産性を高める働き方改革
2000人の調査結果から見えてきた、「生産性」と「情報共有」の深い関係

Dropbox Japan
代表取締役社長
五十嵐 光喜氏

テクノロジーを活用した情報共有の効率化による働き方改革を提案するDropbox Japanの五十嵐光喜氏は、生産性向上は、勤務形態・時間の多様化、ITによる作業効率化、人事評価基準設定―の3つの取り組みがカギとする同社調査結果を説明。労働時間の35%は、メール処理など本来業務以外に費やされているとして「雑務の無駄を省く知見を紹介したい」と語った。

基調講演
なぜ「残業」を減らしたのに会社が儲かるのか?
~「長時間労働の是正」と「生産性向上」の両立に向けて~

労働時間MBO
コンサルタント協会 代表
萩原 京二氏

社会保険労務士の萩原京二氏は、労働時間MBO(Management By Objectives/目標管理)制度を使った長時間労働是正、生産性向上の取り組みを紹介した。労働時間全体のうち、営業担当の顧客面談といった、成果に関連する主体業務の割合(稼働率)と、主体業務を成果に結び付けるパフォーマンスの掛け算で、生産性は決まると説明。働きやすい職場環境の整備や、各社員のキャリア、働きがいを支援することでモチベーションアップを図り、労働生産性を高める人材活用戦略が、働き方改革であると定義した。加えて、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などのテクノロジーを活用して、人でなければできない領域に集中することで、仕事の付加価値を高められる可能性を示した。労働時間の改善には、MBO制度の導入を提案。現場レベルでは、上司のサポートを受けながら社員個人が設定した労働時間の目標の達成を目指す。同時に会社としても、全社的な取り組みを進める労働時間改善委員会や相談窓口を整備する。最後に、企業が取り組むべき社会課題の指標として注目される「SDGs(持続可能な開発目標)達成にも働き方改革は重要」と指摘した。

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