非効率な「アナログ労務」から卒業するには? 年末調整は「Yes・No」クリックだけで完了
一日がかりだった行政への申請業務がわずか3分で終了
「労務業務の効率化を阻む多くの要素を占めるのが労働保険や社会保険の行政手続き分野でした。帳票1つをとっても形式の指定があり、効率化のしようがなかったのです。また、行政機関に申請や届け出の手続きを行う電子政府窓口のe−Govも、使い勝手があまりよくないという声を多く耳にしました。しかし今、政府は外部連携APIを公開しており、われわれのようなベンダーのソフトウェアから簡単に電子申請ができるようになりました。非効率だった行政手続き分野を一気に効率化できる環境はすでに整っているのです」
そう語るのは、クラウド型労務・人事管理システム「オフィスステーション」を展開するエフアンドエムの渡辺尚人氏だ。エフアンドエムは約30年にわたりバックオフィス業務改善コンサルティングに取り組んできた企業だ。顧客だった社労士事務所から社会保険や労働保険の行政手続きを効率化するシステムはないか、という声を受けてオフィスステーションの開発が始まったのだそうだ。いわば、労務手続きをよく知る当事者の意見をフィードバックして生まれたサービスだといえる。
「企業にとって社会保険や労働保険の手続きは従業員のために大切なものですが、そのための手続き業務は残念ながら本業の売り上げや利益には一切関係ありません。そのため投資が行われず生産性が低い仕事を人海戦術でカバーしていたのが実態でした」
例えば労働保険の手続きのために書類を作成し、ハローワークに提出しに行って帰社した頃には半日から一日が過ぎている。ところがオフィスステーションを使って申請を行うと、かかる時間はわずか3分。この劇的な効率化が支持を集め、いまやリリースからわずか3年でおよそ4560社が導入している。
バックオフィス業務の効率化で本業に集中できる環境をつくる
行政手続きが発生する起点となるのは、従業員の転居による住所変更や結婚による姓の変更など、個人発信の情報である。
従来はこれを従業員に紙へ記入させて提出させ、それを受け取った労務担当者が行政手続き用のフォーマットに転記し、行政窓口に提出していた。1人だけでもかなりの手間であり、それが全従業員となれば膨大な時間と労力が必要になる。
それをオフィスステーションは従業員一人ひとりにマイページを発行し、会社に提出する情報を自身でスマホやPCから入力してもらうことでペーパーレス化した。従業員は、紙に書いて提出するという負担がなくなり、場所を選ばず書類の提出が行えるようになる。そして労務担当者は入力情報の正誤をチェックするだけでそのままシステム上で所定のフォーマットで電子申請でき、大幅に行政手続きの時間と労力を圧縮する。