人と組織の相性を可視化する本質的な採用とは 「適性検査」を軽視して人事の本質は語れない

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今、人手不足は深刻な経営課題だ。労働人口の減少に伴い、新たな人材の獲得が難しくなってきており、長く活躍する従業員の確保が急務であるといえる。「3年で新卒の3割が辞める」状況は20年以上続いているが、早期離職による企業の損失は予想以上に大きい。目先の人手が不足するだけでなく、求人広告費や教育費、人件費など、中長期的にかけてきた多額のコストが無駄になってしまう。さらには、欠員を補うための採用コストも重くのしかかる。早期離職を防ぎ、人材の定着を図る本質的な採用効率化とはどのようなものか?

応募者だけ適性検査はナンセンス

厚生労働省の調査によると1995年以降、大学卒の3年以内離職率は2009年を除き30%を上回っている。中小企業はさらに深刻で、中小企業庁の調査では新卒就業者の3年以内離職率は40%を超える(※)

なぜ、早期離職が発生してしまうのか。人と組織のミスマッチを予測し、早期離職を未然に防ぐWebサービスを展開するミツカリの表孝憲氏は次のように語る。

ミツカリ
代表取締役社長
表 孝憲

「各種調査によると、早期離職の大きな理由は人間関係と社風のミスマッチが上位を占めています。面接では企業も応募者もよいところを見せようとするインセンティブが働くため、お互いに少しずつ話を誇張するような状況が起こりがちです。しかも多くの企業では自社に合う人をあいまいに定義しており、応募者も『よい会社か悪い会社か』という1つの軸で会社を見る傾向があります」

人材採用では組織と個人の相性、つまりカルチャーが合うかどうかが極めて重要であるにもかかわらず、その検討が十分ではないためにミスマッチが生じているというわけだ。

冒頭で触れたように、早期離職は多大なコストの無駄につながってしまう。ミツカリの試算によれば、新入社員が独り立ちするまでの投資額は人件費だけでも年間400万円以上かかり、3年間で1200万円に上る。

ミツカリはこの問題にフォーカスし、適性検査を通じて組織と応募者の相性を算出し、人間関係や社風とのミスマッチを防止するサービスを開発した。

「一般的な適性検査はだいたい30分くらいの時間を要しますが、ミツカリは最新の心理学研究の理論とAI技術を用いてつくられており、精度を担保しながらも設問を最小限に抑えているため、10分程度で手軽に受けられます」(表氏)

これまでも多くの会社で応募者に対する適性検査は実施されてはいる。だが、それだけでは応募者個人の性格や傾向はわかっても自社との相性はわからなかった。採用したい人材像があいまいであることが多いだけでなく、そもそもマッチングさせるべき自社従業員の性格や傾向を把握していないからだ。

そこで、ミツカリは自社の従業員にもテストを受けてもらい、会社や各部署が共有している価値観を可視化し、応募者と従業員の比較を簡単にできるようにした。従来の適性検査では、別々に表示される従業員と応募者の結果をいちいち比較しなければならなかったが、ミツカリでは比較したい応募者・従業員を選択するだけで、共通する価値観やミスマッチしているポイントを直感的に理解できる仕組みとなっている。

(※)厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)」より

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