地図データが変える、日本の配達業務の未来 宅配クライシスに挑む「配達アプリ」を開発

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要素技術はそろっている
次世代を見越したサービス開発へ

蟹瀬 アナログ的というと、ベテランの宅配ドライバーは、「あそこのマンションには納品用の駐車場がある」とか、「この道は朝夕は渋滞する」といった知識や経験を備えています。

今ではカーシェアリングなどのサービスも普及していますが、私は、宅配ドライバー不足により、今後はドライバーの副業化が進んでくると考えています。例えば、平日は会社勤めだけれども土日だけ宅配ドライバーをやるとか、子どもの小さいお母さんが、日中の数時間だけ宅配の仕事をするといったことです。そうなるとあまり慣れない道を通ったり、初めて配達する家も出てくるでしょう。ベテランドライバーが個人的に持っている暗黙知をいかに形式知にできるかが重要になりますね。

清水 まさに蟹瀬さんのご指摘のとおりです。私は今後、外国人労働者の活用も進んでくると予測しています。このようなドライバー様も含めて、誰でも簡単に配達ができる仕組みが必要です。

ただ、これはさほど難しい技術ではなく、配達先ごとに望ましいルート、駐車する場所、宅配ボックスの有無などを形式化し、アプリで指し示すことができればいいのです。最後に人に渡すところは残りますが、ラストワンマイルを最短のルートで回る仕組みが実現できると考えています。

蟹瀬 これまではそれらの情報を共有することが非常に難しかったのですが、今後は5Gやビッグデータの活用で容易になりそうです。御社ではこれから「配達アプリ」などのサービスをどのように進化させようと考えているのですか。

清水 「配達アプリ」に関しては、データを蓄積するだけでなく、AI(人工知能)などを活用することにより、事故や渋滞の有無なども含め、リアルタイムに情報を更新できるようにしたいと考えています。カーナビと連動し「今ならこのルートが最短」といった提示ができるようになります。

このほか当社では、自動車だけでなく、自転車やバイク、さらにはドローンやMaaS(次世代移動サービス)を活用した物流システムなどへの対応も進めています。すでに要素技術はほとんどそろっています。あとはそれをどう組み合わせていくかだけです。

蟹瀬 ECサイトやインターネット関連のビジネスはどうしても欧米発というイメージがありますが、日本発の「地図データ」が新しいイノベーションを起こそうとしているのは興味深いですね。これからの発展に期待をしています。

清水 ありがとうございます。これからまだまだお客様に喜んでいただけ、社会に貢献する面白い仕事ができると自信を持っています。ぜひ引き続きご注目ください。

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