ポイント還元で飲食店と消費者はどう変わる? 飲食店が向き合うキャッシュレスの今と未来
「日本のキャッシュレス決済比率は24%で、主要な先進国に比べると非常に低いです。キャッシュレス決済は消費者、事業者共にさまざまなメリットがあるのですが、”食わず嫌い”が起きているのが現状です。今回の事業をきっかけに普及を進め、25年までに40%、将来的には世界最高水準の80%を目指します」
では、キャッシュレス決済に対応することで、飲食店にはどのようなメリットがあるのか。塩原氏は、「決済手段の多様化」と「インバウンド消費拡大」に着目し、こう指摘する。
「クレジットカードや交通系カードに加えて、近年急速に普及し始めたQRコード決済など、決済手段が多様化しています。飲食店は、こうした”揺らぎ”を許容して幅広く対応することが大切です。また、訪日外国人が増えていますが、訪日外国人はキャッシュレスに慣れていて、現金しか使えないと、消費のアップサイドが限定されてしまうでしょう」
売り上げを伸ばす機会が増えることは飲食店にとって大きな魅力だが、キャッシュレス決済対応が秘めるポテンシャルはそれだけではない。津脇氏が強調するのは、効率化と、その先にある付加価値の向上だ。
「昨今は人手不足が課題になっていますが、キャッシュレス決済が進めば、レジ締めをする、釣り銭を準備するといった作業が省力化されて、人件費を削減することができます。さらに、効率化によって生じた時間を顧客接点に充てれば、サービスや製品の付加価値を向上させていくことも可能です。そこを目指してこそ、キャッシュレス化の本当の意味があるのではないでしょうか」(津脇氏)
キャッシュレスに対する懸念を解決するテクノロジー
このようにキャッシュレス決済対応のメリットは大きい。ただ、一方で、コストやオペレーションの面で不安を持つ飲食店経営者が多いのも事実だ。こうした現場の声には、どのように応えていくのだろうか。
「『キャッシュレス・消費者還元事業』に登録すると、端末本体と設置費用は無料です。手数料も実施期間中は実質2.17%以下になるように制度設計されています」(津脇氏)
「現金よりキャッシュレスのほうが明らかに速いのですが、スタッフにオペレーションをきちんと指導しないと、かえって時間がかかるのではないかという懸念を持つお客様がいらっしゃいます。しかし、そこはテクノロジーで解決できます」(塩原氏)
「Airペイ」を例に見てみると、決済手数料は業界最安水準の実質2.16%で、月額固定費や振込手数料は無料。専用端末の操作もシンプルで簡単だ。飲食店経営者が安心して導入できる環境は整っているのだ。
同総研では、「キャッシュレス・消費者還元事業」を受けて消費者がどのような消費行動を取るのか、引き続き調査・研究をしていくという。これからの日本のキャッシュレス動向を占ううえで、同総研の今後のリポートから目が離せない。