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企業活動にSDGsが不可欠な理由(後編) SDGsが生み出す新しいビジネスの種とは?

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  • エプソン販売 制作:東洋経済ブランドスタジオ
本企画では、エプソン販売・PaperLabの協力のもと国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、どのようにSDGsを意識して企業活動をするべきか、その実例やレポート、価値ある提言などを紹介する「SDGs Lab」WEBマガジンを月2回発刊します。

地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。

「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。前回に引き続き、日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャーである村上芽氏に話をお聞きしています。

前回は、日本企業におけるSDGs、評価と課題、SDGs、ESG、CSRの用語の使い分けや、SDGsを取り入れるハードルを下げる重要性について解説した。後編では、SDGsをビジネスにどう活用するべきかについて取り上げたい。村上氏は、これからが正念場だという。

社内の意識改革と、ビジネスの種としてのSDGs

「現在、日本企業は自分たちの企業活動とSDGsがどのようにつながっているのかについて、ひも付けをする段階が終わり、これからどうするのか、または、この先どう拡大していくのかを考えるといった段階にやっと入ったといえます。その中では、新たな課題も出てきているでしょう。持続可能な社会の実現と企業業績の向上を両立していくという感覚が、社内でまだまだ共有できておらず、部署ごとに温度差がある企業もあるかもしれません。ただ一方で、SDGsを起爆剤として先んじて経営課題に取り組んでいこうという意識を持ち、全社的に製品やサービスを通じて何ができるか考える、いわゆる、ソリューション型ビジネスにシフトしようとしている企業が少なくないのも事実です」

そして、村上氏は力強く続ける。

「私は、ぜひ後者を目指していただきたいと思っています。SDGsとビジネスをつなげて、それが持続可能な社会の実現をもたらすことが肌感覚でわかれば、SDGsを基に自社のよいところを伸ばしていくことが、結果的にお客様や社会によい波及効果を生むということを、より具体的に理解できるようになり、ビジネスが加速すると思います」

村上芽 氏
日本総合研究所
創発戦略センター
シニアマネジャー

村上氏は、SDGsは新たなイノベーションを生んだり、ビジネスモデルを構築したりするきっかけにもなると主張する。

「日本企業の多くは技術力が高い一方で、組織が部門ごとにきっちり分かれており、社員もやるべきことがはっきり分かれている傾向にあります。しかし、そこにSDGsの考え方を浸透させることで、縦だけでなく、横の連携が生まれてくるのです。こうした横断的な連携こそ、新たなイノベーションやビジネスモデルが生まれるきっかけになるのです」

またSDGsを推進することは投資家へのアピールにも大きな効果を発揮するという。

「『ESG投資』への関心が高まっている中で、SDGsをビジネスに取り入れることで、結果的にESG投資につながり、企業にとって資金力を高めることにつながるということも、もっと考えるべきだと思います。『ESG投資』といえば、調査やアンケートなどリスク面の測定が厳しいと思われがちですが、悪いものはやめて、よいものは増やそうという目的はSDGsと一致するところです。『ESG投資家』を企業の応援団のように活用すれば、もっとビジネスは拡大していくと考えています」

では、実際にSDGsを活用して、ビジネスを拡大している企業には、どのような実例があるのだろうか。

「例えば、化学メーカーでは、業界全体としてソリューション型ビジネスへの転換を検討する流れがありますが、ある社では、製品やサービスがお客様や社会にどのように広がっていくのか、そして、そこで生まれる課題をビジネスとしていかに解決していくのかについて、SDGsを基に考えるようになっています。これまでは、素材だけを販売する、といった部分的なものだったビジネスが、大きく社会全体にどのように貢献できるかを、SDGsを参考にして考えると、新しいビジネスのきっかけが生まれるのですね。今注目を集めている海洋プラスチック問題なども、まさにSDGsの問題であるといえ、今まで関心のなかった層も、熱心に取り組むきっかけとなっていますよね。この動きは、化学メーカーだけではなく、家電・精密機器メーカーでも、同じです。従来のCSR活動をビジネスにより近づけていく形で、売り方やサービスを変える動きも出ています」

さらに村上氏は続ける。

「つまり、環境とビジネスをつなげていくという考え方が今、浸透し始めているのです。SDGsは開発目標ですが、途上国支援ではなく、先進国も途上国も、等しく取り組む未来を変える目標です。とくにSDGsをうまく取り入れている企業では、成長と結び付けることで経営ビジョンや成長戦略に、ひも付けているところが多いですね」

現在、日本企業では、実際にSDGsをもとにした製品やサービスの開発を進めるところも増えている。さらにSDGsに関する顧客の関心の高まりもあり、営業面においても新たな顧客獲得につながるケースが増加しているそうだ。

SDGsという基準で既存のビジネスを見直す

では、これからSDGsに関する動きはどのように展開していくのだろうか。

「現在のSDGsは2030年までの開発目標を示したものですが、その中に介護や高齢化の課題を具体的に意識したターゲットはまだありません。これから先、世界がどうなっていくのかという点において、少子高齢化が進む日本だからこそできる世界に向けた提案があると思います。日本は新たなルールやスタンダードを作るのは苦手かもしれませんが、健康長寿や高齢化といった観点から、提案をしていくことは大事ではないでしょうか」

さらに、どんな業種であれ、SDGsに取り組むことで、今までにないメリットが生まれると村上氏は指摘する。

「自動車メーカーは、これまでも環境分野は経営の重要課題として積極的に取り組んできましたが、これからはSDGsを参考に、交通事故を減らすなどインフラとセットで取り組むことで、新たなビジネスの展開が生まれるかもしれません。今までしてきたビジネスも、SDGsに照らし合わせて見直すことで、新たな可能性が見える場合があるのです。その意味で今、活用が進みつつあるAIやビッグデータも、誰のために使うのか。そのとき企業は、特定の人たちだけではなく、多くの人の役に立てるかどうかが問われてくると思います」

最後に、SDGsに積極的に取り組みたいと考えているビジネスパーソンに向けて、村上氏はこうアドバイスを送った。

「SDGsの魅力は、たくさんのテーマがあり、それに対してビジネスでいかに貢献していくかという解が無限にあるところだと思います。だからこそ、あまり固く考えるのではなく、まずは自由に発想し取り組むことで、部門横断的な発想を生んだり、自社の魅力を再発見したりするきっかけにしてほしいですね。小中学校といった教育の現場でもSDGsについて教える機会が増えています。これからSDGsは、世代を超えてビジネスパーソンが身に付けておくべき共通言語になり、一人ひとりが持続可能な社会の実現をどれだけ真剣に考えているかを問われるようになるでしょう」

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