日本全国で活況、個人店応援のムーブメント

若者が地域コミュニティー活性化の原動力に?

「Small Business Saturday(スモールビジネスサタデー)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは2010年に米国で始まった、地元の個人店で買い物することを呼びかける社会的な運動だ。当時の大統領や州知事をも巻き込んだ大きなムーブメントとなり、今では「文化」として定着している。実は、この活動を始めたのはアメリカン・エキスプレス。この米国での取り組みは、17年に「SHOP LOCAL(ショップローカル)」として日本にも上陸。3年目となる19年は日本ならではのユニークな取り組みも始まっている。

米国ではバレンタインデーの経済規模に匹敵

11月の第4土曜日、米国では個人店での買い物が爆発的に増える。「スモールビジネスサタデー」だ。この運動は2010年に生まれ、今ではカナダ、英国、オーストラリアなど世界6カ国で定着している。18年の「スモールビジネスサタデー」では全米で178億ドル(約1兆9000億円)が個人店で消費されたが、この経済規模はハロウィーンを抜き、バレンタインデーに迫るものだという。

一方、日本版の「ショップローカル」は、アメリカン・エキスプレスが日本に拠点を構えて100年目となる節目の17年にスタートし、今年で3年目を迎えた。

アメリカン・エキスプレス カンパニー
アジア・日本 社長
清原 正治

なぜ国際的なクレジットカードブランドが地域コミュニティーの活性化を目指しているのか。アメリカン・エキスプレス カンパニー, アジア・日本の社長である清原正治氏は、「ショップローカル」の取り組みについてこう語る。

「お客様のニーズが多様化する中で、個人店への関心が高まっており、そのニーズに応えていきたいということが理由の1つです。以前はグローバルブランドが人気を博していましたが、現在のお客様の関心は個人店や商店街などローカルなお店に移ってきているという実感があります。

しかし、それ以上に当社にとって重要なのは、企業の社会的な役割を果たすということ。少しでも多くのお客様が地元のお店を訪れてお買い物を楽しんでくださることで、地域のコミュニティーが活性化するよう、お手伝いができればと考えています。そのため、『ショップローカル』には明確な経営指標は定めておらず、長期間取り組み続ける覚悟です」(清原氏)

3年目となる19年の実施期間は9月3日〜10月31日。東京、大阪、愛知、京都などを中心に全国規模で盛り上がりを見せるが、その下地は昨年できたという。

「日本では、1年目は知名度もなく苦労しましたが、2年目には広く全国に加盟店を持つジェーシービー(以下JCB)の参画により、全都道府県から店舗が参加するようになり、規模が約4300店舗に拡大。3年目の今年は47都道府県で約1万4500店の加盟店が参加する大規模なプログラムとなり、大きな手応えを感じています」(清原氏)

「若者の地元離れ」の意外な事実

「ショップローカル」の展開に先立ち、アメリカン・エキスプレスがJCBと共同で東京、大阪、愛知、京都で地元の店舗での消費が地域経済に及ぼす影響について調査※1した結果、地元の店舗で1000円を消費することによって、地元に直接貢献する金額は合計744円(内訳は地元での仕入れが287円、従業員への給与が323円、経営者の所得が134円)となることがわかった。いわば、「その買い物は、街の応援になる」という「ショップローカル」の理念の裏付けと、その効果が明らかになったのだ。

では、実際に「ショップローカル」に参加した店舗にはどのような効果がもたらされたのだろうか。昨年までのデータを分析した両社の調査によると、「ショップローカル」キャンペーン中の参加加盟店のカード利用会員数が約3割増※2となり、買い物を通じた中小店舗や地域のにぎわいに貢献。アンケートでは参加加盟店の85%が「満足」と回答するなど高い評価を得ているという。

「『ショップローカル』を通じて、メディアが取り上げてくれるようになったという声や、これまでほとんど来なかった一見客がたくさん訪れるようになった、という声をたくさんいただいています。『ショップローカル』が集客のきっかけになっていることをうれしく思っています」(清原氏)

両社の調査で興味深いのは、年代別に地元の個人店を利用する理由について聞いた結果、20代の4人に3人が「自分好みの商品やサービスがあるから」「他の店にない商品やサービスがあるから」と地元の個人店を高く評価していることだ。10代の頃からインターネットやSNSに親しんでいる若い世代は、オンラインで買い物をすることが当たり前だからこそ、地元の個人店でしか手に入らないものに対して好感を抱いているのかもしれない。

「これまで20代は地元離れの傾向にあると見られていましたが、調査で20代の地元志向の強さが明らかになったことは大きな発見でした。若い世代ほど地元に魅力を感じており、これだけ関心が高いことは、今後地元を盛り上げる大きな原動力になる可能性が高いということでしょう」(清原氏)

※1 調査概要については、次ページを参照

※2 全SHOP LOCAL参加加盟店の利用会員数(AMEX、JCB、QUICPayの合計)の前年同期間比(11月〜12月)

クレジットカードにイノベーションは起きるのか

今年から始まった取り組みとして「ショップローカル・スポンサーファンド」がある。これは商店街や団体から地域の店舗を活性化させる企画を募集・審査し、選ばれた10団体への協賛金250万円を提供するものだ。その1つが、「下町グルメの聖地」として国内外から人気を集める、戸越銀座商店街。

戸越銀座商店街連合会会長の山村俊雄氏は、「ショップローカル」の記者発表会で「わたしたちは『ショップローカル』の“地域のお店は街の資源”というコンセプトに強く共感し、今回参画いたしました。『ショップローカル』を通じてメディアに注目されることでエリア全体の発展を目指すとともに、キャッシュレスを推進することで利便性を高めていきたい」と語っている。

「ショップローカル」がユニークなのは、地域振興に加えてインバウンドとキャッシュレスという2つの要素を併せて展開している点だ。現在、訪日観光客、いわゆるインバウンドの消費金額は年々過去最高を更新しているが、「アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(平成28年版)」※3では、約68%の訪日観光客がクレジットカードなどを利用できれば、もっと買い物をしただろう、と考えていることがわかった。

※3 日本政策投資銀行(DBJ)と公益財団法人日本交通公社(JTBF)が共同で実施したもの

ショップローカルの記者発表会での清原氏のプレゼンテーション

「今やインバウンドのお客様は著名な観光地だけでなく、日本各地の普通の生活の中の新しさ、発見を求めています。つまり、それだけ全国各地の地元の店への関心が高まっているのです。今後もキャッシュレス化をきっかけとして、日本全国のインバウンド需要を掘り起こしていきます」(清原氏)

こうした結果を踏まえ、アメリカン・エキスプレスでは、サインも暗証番号もいらず、クレジットカードをかざすだけで決済できる「タッチ決済」の浸透を目指している。

「日本では今、2025年にキャッシュレス決済比率を現状の2倍である4割まで引き上げることを目標としています。そのためにも、『ショップローカル』を日本全国で展開することで、中小店舗や商店街においても、カード支払いの利便性を体験していただきたい。これからもキャッシュレス化の促進をクレジットカード会社として全面的にバックアップし、次世代およびインバウンドのニーズにしっかりと応えることで地域振興をさらに推し進めていきたいと考えています」(清原氏)

次世代、インバウンド、キャッシュレス――。個人店、そして地域コミュニティーが盛り上がっていくための要素はもうそろっている。米国で起こったような大きなうねりが、日本で起きる日はそれほど遠くないのかもしれない。

「ショップローカル」キャンペーン概要
<キャンペーン期間> 9月3日 (火)〜10月31日 (木)
キャンペーン期間中、ショップローカル参加加盟店にて、アメリカン・エキスプレスのカード、JCBカード(クレジット・デビット・プリペイド)、QUICPayのいずれかにより1,000円(税込)以上買い物するとプレゼントが用意される。 
特典1
特製トートバッグ(各店舗先着20名)
ショップローカルオリジナルデザインのトートバッグをプレゼント。 
特典2
抽選カード(各店舗先着100名)
抽選カードを1枚プレゼント。日本の名産品を選べるカタログギフト (最高9,000円相当)が2,000名に当たる。
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