
大学でも問われる「業務の効率化」
冲永 本学では学生に対するサービスの向上や教育研究の強化など将来の高等教育環境の充実を見据え、以前から学内の業務効率化に取り組んできました。とりわけ、ここ数年はデジタル化が進展し、業務改善の手法にも選択肢が増えている中で、抜本的な業務効率化が問われてきました。
加藤 事務の効率化や働き方改革は、大学でも重要な課題になっているんですね。
帝京大学 学長
冲永 佳史
冲永 はい。とくに入学事務は煩雑な作業も多いうえ繁閑の波もあり、人員の最適化と事務の効率化が課題となっていました。
例えば入学金の振込では、受験番号の入力漏れ、振込名義相違などが起きやすく、手作業での確認や消し込み作業が発生します。こうしたミスを減らすため、本学では銀行窓口での振込に限定していました。
しかし一方で、入学希望者や保護者からは銀行窓口に行く負担が大きい、オンラインで振込みたいといった要望も受けていました。こうしたことから、決済のマルチチャネル化を進めている三菱UFJ銀行に相談しました。
加藤 当行は今、従来行ってきた預金や融資業務だけでなく、顧客が抱える課題を解決することに注力しています。まずは、これまで長きにわたり交流を持ってきた帝京大学の課題解決に向けて、力添えしたいという思いがありました。
一般企業であれ、大学であれ、入金の消し込み管理は非常に煩雑です。ハイシーズンは銀行窓口でも振込事務がピークに達し、大きな負担がありました。そこで、PCやスマホ、ATMでの振込も可能とするマルチチャネル化により、振込者の負担減はもちろん、大学での消し込み作業も省力化できるシステムを提案しました。窓口振込に必要な書類はWebサイトからダウンロードする形式を採り、ペーパーレス化も実現しました。
冲永 保護者からは煩雑な手続きが緩和されたうえ、銀行窓口の営業時間に縛られることなく手続きできるようになって便利だという声が多く、好評を得ています。また、本学の担当部署でもかなりの作業が削減され、事務処理が効率化できました。消し込み管理にまつわるミスも減り、保護者にとっても本学にとってもメリットばかりですから、これからどんどん広がっていくのではないでしょうか。
若者を育成する立場として今、大学も大きく変わる時
加藤 最近は、オンラインでもさまざまな銀行取引が可能になり、多くの手続きがオンラインで完結できるようになりました。当行は、ネットバンキングのUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上にかなり力を入れてきました。
例えば、使いやすいスマホの画面作り、手続きプロセスの簡略化といった取り組みを行っています。また店頭には、多様な形の振込依頼書をAIで読み取る機械を独自に設置。いわば「いつでもどこでも快適に取引できる銀行」を、われわれは目指しているんです。
冲永 銀行も含め、世の中の仕事の仕方がこれだけ大きく変わってくる中で、大学も大きく変わっていく必要があると考えています。将来を担う若者を育成するという立場からすれば、むしろ先駆けて新しいものを取り入れていかなければ説得力がないはずです。
事務作業の効率化をはじめとする業務改善は、今や大学にとって必須と言っていい。最新のテクノロジーによって効率化を実現できるなら、積極的に取り入れていきます。少子化の波で大学は厳しい経営環境に置かれていますが、できることはまだまだたくさんあると思っています。
法人・リテール部門副部門長
加藤 昌彦
加藤 当行も、大学の課題解決に役立つべく、助言や提案に当たる専門チームを設置しています。例えば、大学改革に欠かせない人事制度改革や、留学生の増加に伴う外貨による留学奨学基金の設立などさまざまなサポートが考えられます。
冲永 キャッシュレス化はどうでしょうか。学生の注目度は高いと思います。
加藤 はい。将来的には大学内の完全キャッシュレス化も視野に入れています。例えばQRコード決済、あるいは使いすぎる心配のないデビットカードなどを使って、学生の利便性向上を図っていきたいです。最近は、社会人や留学生が増えるなど大学入学者の多様化も進んでいますよね。そこで生まれてくるさまざまなニーズに応えながら、よりよい大学経営のサポートをしていきたいと考えています。
銀行が大学に総合的なサポートをしていく
冲永 未来の大学運営を考えるとき、教育研究力の強化は当然として、外部組織との連携力もブラッシュアップしていかなければなりません。そうした意味では、今までの大学の概念を超えた取り組みが重要になると考えています。
また、それを実行するためにもしっかりとした財政基盤は欠かせません。資産活用も、学校法人の生き残りに向けた大きなテーマだといえるでしょう。世界に目を向ければ、米国の大学は資産運用の面で日本よりかなり先んじていますね。
加藤 日本の学校法人はこれまで、どちらかというと資産運用には消極的でした。しかし、低金利時代が長引く中で、新たな取り組みも必要となっています。当行はグループを挙げて、大学としての運用規定の策定やリスク管理のほか、中長期の資産運用や遊休地の活用など総合的なサポートを行っていきたいと考えています。
冲永 私たちも業務効率化に取り組んできた中で、銀行が保有するたくさんのリソースは非常に有効だという実感があります。
最新テクノロジーの活用やリスク管理にも、強固な体制を整えていますよね。これからは大学も、つねに新しいことに挑戦するという姿勢を忘れてはならない。その意味でも、金融機関のサポートを活用することは1つの方法だと思っています。