「Mobility3.0」時代の覇権シナリオ

モビリティ世界を切り拓くイノベーターの挑戦

さまざまな交通手段を目的地までの移動サービスとして提供するMaaS(Mobility as a Service)が次世代の交通のあり方として浮上。CASEと呼ばれるConnected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared/Service(シェアリングとサービス)、Electric(電気自動車)のテクノロジーの進化に伴って、自動車が移動サービスの一部に取り込まれ、所有から利用の対象に変わる「Mobility 3.0」が迫っている。東京・千代田区で開かれた「『Mobility 3.0』時代の覇権シナリオ CASE時代の到来がもたらす創造と破壊、ビジネスモデルのパラダイムシフト」では、100年に1度の大転換期を迎えるとされる自動車産業、社会インフラの変化の行方を予測し、新たなビジネス機会を探った。
共催:アクセンチュア、東洋経済新報社

開会挨拶

アクセンチュア
代表取締役社長
江川 昌史氏

アクセンチュアの江川昌史氏は、勢いを増すカーシェアリングが、最終消費者を顧客としてきた日系自動車メーカーに与える影響を注視すべきと強調。「太陽光で発電した電気をプラグイン車に充電するようになった」と、最近の身の回りの変化を振り返り、モビリティ3.0を「移動にとどまらず、社会が変わる大転換期と捉えている」と述べた。

KeynoteI
Mobility 3.0
~モビリティにおける産業コンバージェンスとビジネスチャンスの広がり

アクセンチュア
戦略コンサルティング本部
マネジング・ディレクター
川原 英司氏

5月に出版された『Mobility 3.0』の著者の一人、アクセンチュアの川原英司氏は「今後は、自動運転で事故や渋滞から解放され、デリバリーの充実などで移動も減る。車は移動サービス事業者の事業資産の色彩が強まり、移動式不動産化する」と将来を概観。従来のモビリティ1.0の自動車産業は、車単体の商品力で競ってきたが、3.0では、自動運転制御のほか、車の空間向けにサービスなども提供するクラウドプラットフォームが重要になる。車は「移動事業エコシステムの一要素にすぎなくなり、自動車産業と他産業とのコンバージェンス(融合)が進む」と予想した。その中で、大手IT企業の戦略は、サービス提供、車両制御の中核システムを押さえることにあると分析。自動車業界は、IT企業とも提携しながら移動サービス会社を立ち上げている。また、メーカー同士の提携で、製造、販売、メンテナンスなどアナログ部分の競争力も強化。通信、ハイテク、金融、電力なども新たなモビリティ市場参入をうかがうディスラプションの中、日本企業は「既存中核事業を強化しながら、新規事業開発を行い、同時並行型で事業転換を進めるべき」と語った。

KeynoteII
「CASE」の最新動向
-GAFA×BATHの大戦略-

立教大学
ビジネススクール
教授
田中 道昭氏

立教大学の田中道昭氏は、スマホのOSを軸にしたエコシステムによって携帯電話市場のシェアを獲得している事例に触れて、「これが、ほかの業界でも起きうること」と話した。自動車業界では、2018年1月に自動運転バスの商用化計画を発表した中国大手IT企業が、18年中に21カ所で運行を始め、量産化も実現。深圳(シンセン)では、19年1月時点で、タクシー2万3000台の99%がEV化されるなど電化が進行した。シェアリングも、若者らを中心に新しい価値観になっていると指摘。この価値観がEVやシェアリングの普及を加速し、短期間に大変化を起こす可能性も「考えておく必要がある」と述べた。また、中国・杭州にある、無人チェックイン、顔認証で部屋に出入りできるAIホテルなど、先端テクノロジーの社会実装例を紹介。日本企業は、大胆なビジョンを掲げて、アジャイル方式で技術開発・事業化を進めている米中の大手IT企業をベンチマークにすべき、と強調した。「日本では、未来の話と思われている変化が、世界では現在進行形で起きている。これらをただの例外と考えるか、自分事と捉えるかは、あなた次第だ」と訴えた。

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