グローバルな誘致進む「MICE」戦略の今 多くの企業が報奨旅行やミーティングで利用
――MICE開催地としての日本の魅力や特徴とは何でしょうか。
西村 まず、日本が安全な国であるということが大きいでしょう。しかも清潔で利便性も高い。交通機関は非常に発達しており、空港からホテルにもバスや列車で直接行くことができます。また固有の文化があり、社寺などの歴史的建造物も残されているため、観光を挟んだプログラムを企画しやすいことも大きな魅力となっていると思います。
――企業の担当者が開催地を選ぶ際に重要なポイントになるのは、どこでしょうか。
西村 ホテルと会場間のアクセスのよさや、利用者が開催国の文化に親しむことができる場所であるかどうかです。
美術館や文化施設を活用したユニークべニューでの開催も注目を集めるようになっており、欧米ではすでに企業パーティーなどでユニークべニュー活用が浸透しています。これからは日本でも各都市の歴史的建造物などを活用した誘致が拡大していくでしょう。
――今後MICE誘致を加速させるうえで必要なことは何でしょうか。
西村 単に数だけを追うのではなく、需要の大きいアッパークラスへの対応を強化していくことでしょう。ハイエンドのビジネスパーソンを迎え入れるノウハウをさらに蓄積し、彼らを対象としたワールドクラスのホテルやメッセをさらに増やしていくことが求められているのではないでしょうか。
――それには民間だけでなく、自治体の協力が必要ですね。
西村 そうです。MICE誘致は、いわば”シティーセールス”であり、世界各国の有力都市がその競争相手になります。そうした競争に勝っていくためには、やはり、その分野に精通したプロフェッショナルの存在が重要です。例えば、ある国際学会を開催するとき、主体は学者となります。しかし通常、学者には国際学会を誘致したり会議場を手配したりするノウハウはありません。そんなときプレゼンテーションやプロポーザルなど技術的なサポートをしてくれるのがコンベンションビューローです。彼らは会議開催に関する知識や人的ネットワークなどMICE誘致の実務的ノウハウが豊富で、事務局やプレーヤー、ヘッドクオーターとのさまざまな調整を行っています。MICEが進展していく中で、彼らのようなプロフェッショナルの存在をさらに強化していくことが重要になっていくのではないでしょうか。
――その意味でも、日本が一丸となってMICE誘致を進めるべきなのでしょうね。
西村 世界ではアジアと中東のプレゼンスが高まっており、日本は高いホスピタリティーや各地域の固有の文化を生かした誘致の推進が求められています。民間、自治体の壁を越えて、オールジャパンとしてMICE誘致を成功させていってほしいですね。