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ERC725/735が生み出すビジネス展開の可能性 今注目の自己主権型アイデンティティとは

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東京・千代田区で開催された「ブロックチェーンアイデンティティセミナー」では、ブロックチェーン技術を活用した情報管理を可能とするEthereumのERC725/735の技術概要や実証実験など、最先端の取り組みについての解説が行われた。セミナー当日は、次世代のビジネス展開を見据え、情報管理にブロックチェーン導入を検討する企業の担当者で満員となった。
共催:NEC
   一般社団法人日本クラウドセキュリティアライアンス(CSAジャパン)

主催挨拶

オープニングでは、CSAジャパンの諸角昌宏・業務執行理事とNEC 金融システム本部の林直也・本部長代理が登壇。諸角氏はCSAジャパンのBlockchainワーキンググループ(WG)内に、新たなサブグループを立ち上げたことを報告。「アイデンティティ(ID)というソリューションを1つの切り口にして、Blockchain WGの活動を一層強化したい」と今後の方針を語った。また、林氏も「海外、国内のブロックチェーンアイデンティティの最新動向や将来展望を紹介することで、本セミナーに参加する方々のビジネスに資することを切望する」とあいさつした。

左からCSAジャパンの諸角昌宏・業務執行理事とNEC 金融システム本部の林直也・本部長代理 

ブロックチェーン活用で個人情報を自分の手に取り戻す

セミナーは、CSAジャパン理事でNECに在籍する宮川晃一氏の「デジタルアイデンティティ〜グローバルの新たな潮流〜」から始まった。2019年5月に開催された「European Identity & Cloud Conference 2019」に参加したところ、「本セミナーのテーマの1つである、ブロックチェーンを使った非中央集権型デジタルアイデンティティ(DID)管理などについての解説や報告が全体の4割程度を占めていた」とグローバルにおける注目の高さを伝えた。

CSAジャパン
理事
宮川晃一

さらにデジタルIDの構成要素(識別、認証、認可、属性)や、IDマネジメントの変遷などの基礎知識を説明したうえで、デジタルIDの課題を5つの観点で整理した。

「識別制度、属性情報の保持鮮度と消去、集中管理と名寄せ・行動把握(プライバシーの保護)、自己コントロール性の確保(プライバシー侵害からの保護)、身分保証において課題がある。とくに最近ではGAFA等の個人データの独占、漏洩の可能性などが指摘されていることから、個人が自分自身の情報を管理する仕組み(SSI)がないという問題を解決する方法としてDIDの必要性が叫ばれている」と語った。

個人データの円滑な流通を行うために、パーソナルデータストア(PDS)を仲介・運用する事業者(情報銀行)を利用する仕組みの整備を経済産業省、総務省が推進しているといった話題も提供。「ブロックチェーンアイデンティティは、デジタルIDの発行者と利用者を完全に切り離して、個人データを流通させることによって本人確認ができる仕組みで、個人データは本人の管理下にあるということが要点だ」と語った。

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