RPA導入2年で約1000人分の余力捻出事例も 現場が喜ぶ「失敗しないRPA導入」方法とは?
RPAは日本の新たな産業に
日本で急成長を遂げるRPA業界のリーディングカンパニー「UiPath」は、世界3700社に導入実績を持ち、すでに日本でも1000社以上の実績を誇る。同社では、日本を最優先戦略市場と位置づけ、ソリューションの日本語化やフォロー体制などを整える。
同社の長谷川康一氏は、現在の日本では「ビジネスの多様化による無数の作業で現場の疲弊が起きている」と訴える。そこで、現場作業をRPAにより自動化し、日本の事務職を専門職へと進化させるデジタルトランスフォーメーションが必要だという。
「RPAは日本が世界をドライブしていきます。業務に精通した人材が、RPAを使いこなすデジタル人財になれば、現場でイノベーションをおこし、RPAは日本の新しい産業になると確信しています」(長谷川氏)
そのためにUiPathは、200社以上のアライアンスを持つ「オープンなデジタルプラットフォーム」とIT部門以外でも使える「ロボットフォーエブリワン」を実現し、真の働き方改革をサポートするという。
社員の成長速度をRPAで引き上げる
具体的にRPAの導入効果を見ていこう。三井住友銀行では、17年4月から「RPAをトリガーとした生産性向上プロジェクト」を実施、わずか2年で205万時間(約1000人分)以上の余力捻出に成功した。
さらに「19年度末には、RPAの活用により、付加価値の高い人材を1500名生み出す」とSMBCバリュークリエーションの山本慶氏は同グループのチャレンジを紹介する。具体的には、作業領域を0~5の6段階に分け、0は業務の見直しとともに完全に廃止。1~2の作業領域を担当するスタッフの単純な作業は、RPAに代替させることで余力を捻出し、上位レベルの業務にスライドさせていくことで、組織全体の生産性を向上させていくという施策だ。
「単に銀行側の生産性向上を目指すのとは異なります。がむしゃらに働けばよかった時代と異なり、これからの人材は、長時間労働によるスキルアップが難しくなります。RPAによる業務の効率化で生まれた時間を自己投資に向けてもらう。それにより職員一人ひとりの成長速度を引き上げ、スキルアップができる環境を目指しています」(山本氏)
各企業は、RPA導入をどのようにスタートさせているのだろうか。パーソルテンプスタッフの渡部広和氏は、17年2月にRPA導入プロジェクトを1人で立ち上げた。その後、現在まで20名に体制を増やし年間23万時間、1400人/月の削減を実現した。成功要因として(1)人とロボットのすみ分け、(2)共通部品のモジュール化、(3)開発プロセスの手順化を挙げた。