
主催:東洋経済新報社
共催:セールスフォース・ドットコム
*経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」
基調講演(Eコマースのトレンド)
最新の事例から見るECの課題とは?
ファンとの絆を深め、売上・利益の最大化を狙う
コンサルタント協会(JECCICA)
代表理事
川連 一豊氏
JECCICAの川連一豊氏は、EC事業を上手に進めるうえで、留意すべき課題を説明した。5G高速通信などテクノロジーについては、評価ツールを使ってサイトのパフォーマンス改善を重ねることを推奨。「アクセスの遅さは売り上げに影響するので、インフラのスピードを意識すべき」と求めた。また「ECでは顧客との関係性構築が何よりも大事」と強調。「信頼する人に勧められることが購入の決め手になる」と、商品よりも店長らを前面に出すことで、人による差別化を進め、SNSのインフルエンサーも活用しながら「コミュニティーを作ってファンを増やすことが重要」と述べた。そのためには、顧客データを取得する仕組みを作り、そのデータを活用して、カスタマージャーニーの5A(認知、訴求、調査、行動、推奨)に沿った「お客様の心をデザインする」施策を促した。
課題解決セッション【テーマ(1)】
ECサイトの「コスト削減」と「施策のスピード化」を実現する方法とは?
~SaaS型のECプラットフォームがECビジネスにもたらすメリットを解説~
Commerce Cloud
シニアソリューションエンジニア
山浦 直人氏
セールスフォース・ドットコムの山浦直人氏は、つねに最新のシステムが利用可能で、インフラの維持管理業務を省力化、サイトを安定稼働できる、同社の「コマースクラウド」をはじめとするSaaSのメリットを訴えた。同社はシステム利用企業のカート投入率などを公開し、ベンチマーク企業と比較できるエコシステムを構築。これらのデータを基に、カスタマー・サクセス・マネジャーが、顧客の課題発見を促し、改善策の相談にも応じることで、成果を上げてきたことを紹介。「すぐにできる効果的な施策」として、モバイル端末に注力することを推奨して、リコメンドをページ中段に表示するといった、改善ポイントに言及。「サイトの利便性、操作性を少し高めるだけで売り上げは大きく変わる」と語った。
課題解決セッション【テーマ(2)】
成功する、「ECビジネスモデル」と「顧客ロイヤルティ戦略」とは?
~AIと統合CRMで実現する、顧客との新しいつながりとオムニチャネル対策~
エバンジェリスト/プリンシパル
ビジネスコンサルタント
熊村 剛輔氏
セールスフォース・ドットコムの熊村剛輔氏は、米国ECの最新トレンドを紹介した。11月下旬から約1カ月のホリデーシーズンセールは前倒し化・長期化が進み、8月ごろからクリスマスまで約5カ月に及んでいると指摘。事業者側も、短期集中から、時間をかけて売り上げを最大化する方向にシフトし、商品の認知・関心・検討・購買という通常のカスタマージャーニーに加え、購買後の使用・顧客活性化・顧客満足度向上・顧客エンゲージメント向上のサイクルから、別の商品認知につなげる「統合された顧客との結びつき(ユニファイドエンゲージメント)が注目されている」と説明した。その実現には、モバイルアクセスの質を高め、データを使ってパーソナライズされたアプローチによる顧客体験の向上が重要で、同社もAIなどを使った支援ができることをアピールした。
事例講演
「デジタルの力で、新しいステージへ」
~大手アパレルTSIホールディングスがモバイルファースト、オムニチャネル戦略で挑む、EC事業拡大とロイヤルカスタマーの醸成~
TSI ECストラテジー
代表取締役社長
柏木 又浩氏
アパレル大手TSIの柏木又浩氏は、オンラインと、国内外約1200の店舗を顧客接点とするオムニチャネル戦略について「顧客との接触を増やせば、ブランドに売り上げが返ってくる」と述べた。ブランド最適重視で、同社ECサイトはブランドごとに開設。さらにモバイルファーストを掲げ、使いやすいアプリ開発も推進してきた。結果、オムニチャネル顧客の年間購入額・回数は、単一チャネルの3~4倍を達成。コマースクラウドについては、同じプラットフォームを利用する海外先進企業と情報交換できるエコシステムのメリットを強調。「海外ブランドの店舗は、売り上げから顧客体験スペースに役割が変化している」と述べた。
特別講演(1)
ショップジャパンのマーケティング戦略
『ショッピング・エンターテイメント』
執行役員
ショップジャパン事業統括 兼
Oak Lawn Marketing International Inc. CEO & President
加藤 裕一郎氏
オークローンマーケティングの加藤裕一郎氏は、100億円の売り上げを生む、ショップジャパンの新製品ビジネスを語った。同社は世界中から集めた商品を独占販売する。インフォマーシャルは、認知・考慮・購買のファネルを意識し「考え抜いたコミュニケーションの段積み」で制作する。低反発マットレスの場合、ガラス板の上に敷いてボウリング球を落とすデモで驚かせてから、商品の特長を訴求、愛用者の声で共感を生み、最後に特別価格提示で、商品認知から短時間で一気に購買に結びつける。「われわれは買い物したい方に、欲しいものと、欲しくなる映像を提供する」と語った。
特別講演(2)(東京/名古屋会場)
イノベーションは偶然に生まれない
ワンカップ大関の昨日今日明日
取締役商品開発部担当 兼
商品開発部長
長石 元一氏
大関の長石元一氏は、ワンカップの商品開発経緯や今後の戦略について話した。ワンカップは高度成長期に「日本酒の飲み方を変えよう」とコップ酒をヒントに開発。昭和40年代のレジャーブームもあり、「いつでもどこでも」の手軽さが受けてヒットした。しかし1991年をピークに頭打ちとなり、大吟醸を混ぜて華やかな香りを出すなど酒質と容量のバラエティーを拡大。さらに、ゴジラとの限定コラボ商品やSNSを使って、次世代ユーザーのターゲットとする30~40代の男女にアピールする。「機能だけでなく、情緒的価値を訴求していく」と語った。
特別講演(2)(大阪会場)
知と汗と涙の近大流
コミュニケーション戦略
総務部長
世耕 石弘氏
近畿大学の世耕石弘氏は、教育・研究力に関係ない「空気のようなブランド力」で序列化された大学の評価をひっくり返すことを目指した広報戦略を語った。大阪のお笑いのコミュニケーション力などを武器に「大阪のユニバといえば、近大やろ」といった広告、カリキュラムなどの学部情報の代わりに美男・美女図鑑などを掲載、読みたくなる内容に特化した大学案内など、ネット上での拡散を強く意識する「とがった」発信で、賛否両論の話題を巻き起こした。社会的評価が高まった大学などにランクインも果たして「徐々に地殻変動が起きている」と手応えを口にした。