第1回プラチナキャリア・アワード プラチナ人材を企業の成長エンジンに
審査委員パネルディスカッション
プラチナキャリアが求められる理由
―審査を通して得た学びと提言―
最初に、事務局が、最優秀賞のSCSK、優秀賞の伊藤園、T&Dホールディングス、マツダ、丸井グループ、東洋経済賞のファンケルの6社について、高齢社員の活躍、副業やポスト公募制度などキャリア構築を促す仕組み、社内大学など自律的に学べる仕組み、事業を通じた社会貢献などが評価されたと説明した。
続くパネルディスカッションで、東京大学の柳川範之氏は「従業員のキャリア形成を進める企業は、短期の利益にならなくても、CSRと同様の長期目線で人材育成するカルチャーをつくることが大事」と述べた。社労士として中小企業に関わってきた諸星裕美氏は「恵まれたリソースを持つ大企業は、育てた人材を中小企業に輩出し、広く日本を活性化する意識を持ってほしい」と訴えた。生涯学習が専門の牧野篤氏は「これからは、働く人が自身を変えるために、自ら学び直すことが求められる。企業の人材育成は、その方向に社会を変えられる」と語った。エドテック(教育×テクノロジー)を使った、教育から学びへの改革を提唱する佐藤昌宏氏は「自律的に学べるアクティブラーナーを増やす仕組み」を紹介し、企業も導入可能と指摘。ダイバーシティーが専門の佐々木かをり氏は、定年延長が進む中で「定年延長か早期退職して新しい人生に挑戦するか、各自がキャリアと人生の充実を長期視点で考える」ことを提案した。
最優秀賞受賞企業スピーチ
最優秀賞を受賞したSCSKの田渕正朗氏は「ITサービスは人がすべて」と考える同社の人材育成・確保施策について説明した。IT業界は人材獲得競争が激しく、技術進化に追いつく自己研鑽も欠かせない一方、過酷な労働環境のイメージも根強い。そこで同社は、社員パフォーマンスを最大化するため、350種の研修カリキュラムを備えた人材育成体系や、届け出だけで副業・兼業を認める仕組み、専門スキル認定制度、希望者に新たな活躍の場を提供する人材公募制度などを導入し、一人ひとりの自己成長機会を積極的に提供。社内高度技術者の約半数を占めるベテラン社員活用には、成果報酬型のシニア正社員制度も創設した。また、育児・介護ニーズに応えて、リモートワークによる在宅勤務、地方センター開設による地方勤務を充実。残業も月20時間以内に抑えた。田渕氏は「社員からも働きやすい会社と評価されている。次は、働きがいを一層、高めたい」と語った。