第1回プラチナキャリア・アワード プラチナ人材を企業の成長エンジンに
主催:東洋経済新報社
後援:内閣官房 厚生労働省
企画:三菱総合研究所 未来共創イノベーションネットワーク 三菱UFJ信託銀行
基調講演
プラチナ社会へのイノベーション
~プラチナキャリア実践が日本を変える~
アワード審査委員会座長の三菱総合研究所理事長、小宮山宏氏は、長寿化が進み、モノや情報も手に入る21世紀に「われわれは、もっとよい社会をつくれるはず。既存の制度、マインドセットを変えて、それぞれの人が自己実現可能な、豊かで地球が持続する『プラチナ社会』に向かうべき」と述べた。日本では生産年齢(15〜64歳)人口の減少が課題とされているが、先進国では18〜20歳の働き手は少数で、生産年齢を20〜74歳と定義すれば、労働力不足とは言えないと指摘。実態に合わない制度を変え、シニアが働ける環境を整えるよう主張した。一方で、シニアのマインドを「若い世代と一緒に未来を考える方向に変える」必要性を強調。「多世代インクルージョン」の実現に向け、人々の自律的な学びを推進することを提案した。また「個人のキャリア形成を支援する企業の役割が重要になる」として、企業は、目先の損得にとらわれず「広く、長期の視点を持つよう」訴えた。
記念講演
「日本人の勝算」
~人口減少、高齢化に打ち勝つ生存戦略~
金融アナリストの経歴を持つデービッド・アトキンソン氏は、GDPは、人口×生産性(1人当たりGDP)であり、今後の人口減による経済へのマイナスを生産性向上で補わなければ、日本は年々増加する社会保障費を賄えなくなると警鐘を鳴らした。生産性向上に必要とされるのは、コスト削減ではなく、付加価値を高めることで、そのためには既存企業内でも、リスクを取って新しいやり方に挑戦する精神(アントレプレナーシップ)がカギと指摘。人材も技術インフラも国際的に高く評価されている日本の生産性が上がらない理由については、1人当たりGDPに直結する給与が、小規模な企業で低く抑えられていることが大きな要因と分析し、1999年以降に最低賃金を2倍以上に引き上げて生産性を高めた英国をはじめとする、海外で実績のある政策を取り入れて「最低賃金を引き上げ、異常な低賃金頼みの経営からの脱却を促せば、日本経済は復活する」と主張した。