今、「日本の木材」が見直されているワケとは?

木材が燃えやすいというのは、過去の話だった

「秋田杉を改札内側の壁や、自由通路に設置した椅子などに使用する実証実験が始まり、利用者からの反応がよかったのです。そこで秋田駅の施設をリニューアルする際、駅は利用者にとって、どんな存在であってほしいのか、ということを徹底的に議論した結果、県産材である秋田杉を使って、魅力ある秋田駅を創り出そうということになりました」

秋田杉を通じて人の輪が広がる

秋田県といえば、温泉やお酒、食べ物など多くの観光資源があるが、駅のリニューアル後は、秋田杉も秋田県の名産品の1つとして、インバウンドなど国内外問わず多くの観光客の目に触れる機会をつくることができたと田口氏は言う。

「木材を利用して大々的にプロジェクトを推進するケースは、これまでほとんどありませんでした。おそらくJR東日本管内でも初めての試みになったと思います。とくにラウンジにある秋田杉を使った椅子やテーブルは、専門家の方々に相談しながら高度な技術でつくったため、一つひとつ凝った工夫がなされており、出来上がったときには非常に感慨深いものがありました」

17年には全国の優れた木材建築などを表彰するウッドデザイン賞の最優秀賞を受賞。乗客や観光客からは「これまで見たことがない空間だ」「温かみを感じる駅になった」という声が多く寄せられたと田口氏は言う。

「ラウンジの窓際には1人掛け用の椅子と机があるのですが、学生がそこで勉強する姿をよく見かけるようになりました。ほかにも、自由通路にある大きなテーブルの周りに若者が集まって話をしていたり、ロッキングチェアでうたた寝する人がいたり。多くの人が集まると、場に活気が出ます。これまで以上に周辺の商店街も含めて秋田駅に人が集まるようになったという実感がありますね」

同プロジェクトの木質化は、秋田駅だけにとどまらない。駅ビルのお土産フロアや飲食店フロア、駅周辺にあるJR秋田支社ビルや放送局ビルのほか、スポーツ整形クリニック、学生向けマンション、そして今年新たにできるバスケットボール向けスポーツ施設にも広がっている。

また、駅周辺のバスターミナルでは木塀や木柵といった外構部にも木材が使用されている。

現在の国産材は、耐久性が高く、燃えにくい不燃処理などの加工が施してあり、より使いやすくなっているのだ。田口氏が語る。

「実際に駅周辺のさまざまな場所に木材を使うことによって、昔とは雰囲気がガラリと変わりました。JR東日本では『地方を豊かに』というコンセプトを掲げていますが、木質化をきっかけに、地域の皆さんと連携して、これからも街を元気にしていきたいと思っています」

左上:自由通路の大きなテーブルでは若者の姿がよく見られる 右上:ラウンジにも人が集まるようになったそうだ 左下・右下:駅前のバスターミナルも木質化によるリニューアルを実施。心和む空間となっている

*全国木材協同組合連合会は、林野庁補助事業である「外構部の木質化対策支援事業」を推進しています

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