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環境問題解決に貢献するアルミニウム 需要が高まる素材の特性と実力

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  • UACJ 制作:東洋経済企画広告制作チーム
ESGや環境問題解決への貢献を重要視する考え方が世界的な広がりを見せている――。グローバルに事業を展開する企業は、それらとどう向き合うべきなのか。メディア業界の第一線で活躍するとともに京都産業大学で客員教授を務める元TBSアナウンサーの吉川美代子氏が、世界トップクラスのアルミニウム総合メーカーのUACJで代表取締役社長を務める石原美幸氏に話を聞いた。

環境問題への関心の高まりとアルミニウム需要の関係

吉川 社長に就任されてから約1年が経ちましたね。

石原 私たちは2013年に古河スカイと住友軽金属工業が経営統合してできた新しい会社です。

そのため、あらゆる機会を利用して、生産現場を中心に国内外で幹部から若手まで多くの人たちとコミュニケーションを取ることを心がけてきました。現場育ちの私としては、問題解決のヒントは必ず現場にあると思っています。なるべく現場で直接コミュニケーションを取り、直観力や共感力を磨くことが大切だと考えています。

京都産業大学 客員教授
元TBSアナウンサー
吉川 美代子

吉川 アルミニウムは今、環境問題の観点からさまざまな分野で注目されていますが。

石原 アルミニウムは誕生から100年程度の新しい素材です。軽くて耐食性があり、熱伝導率が高く、何度でもリサイクルできるという特長を持っています。

そのため、自動車やバイク、鉄道、航空機といった輸送機器のほか、飲料缶、食品や医薬品の包装材、IT機器や電化製品など、多くの製品に使われています。今後も、多くの特長を生かすための研究開発を進め、より多くの分野で活用されるよう努力していきたいと考えています。

吉川 アルミニウムの需要は高まっているという印象があります。

石原 ESGやSDGsにも通じますが、環境問題解決に貢献する素材として、需要が拡大しています。

アルミニウムは何度でもリサイクルできるという特長を持っていて、アルミ缶の再生率は93.6%と非常に高いです。

アルミ缶からアルミ缶へのリサイクル率は現在71.4%まで向上しています。

アルミニウムは、地下資源であるボーキサイトから製造しているのですが、リサイクルしてアルミニウムを作ることで、新たにボーキサイトから作る場合に比べ、エネルギー量は約97%抑制できるといわれています。

リサイクル可能なアルミニウムの用途を拡大することで、廃棄物の減少や消費エネルギーの抑制など、環境に配慮した社会の実現に貢献していきたいと考えています。

業界を挙げたキャンペーンでリサイクル率が飛躍的に向上

吉川 グローバルに事業を展開されていますが、環境問題に対する意識は国によって違いますよね。

UACJ 代表取締役社長
石原 美幸

石原 飲料容器の場合、日本では昔、ガラス瓶が主流でしたが、全国的な水不足が発生した際、ガラス瓶の洗浄水が不足したことがきっかけで、アルミ缶が普及し始めました。その後、廃棄されるアルミ缶の増加に対応するため、業界を挙げて缶から缶へのリサイクルを推進するキャンペーンに取り組みました。こうした努力が実って、リサイクル率が高まりました。

従来のアルミ缶だけではなく、アルミボトル缶も、またアルミ缶に再生することができます。コーヒー飲料などはぜひ、アルミボトル缶を選択してほしいですね。

私たちは、グローバル生産・販売体制を構築していますが、主要生産拠点の1つであるタイでは、生産体制を増強しました。まだガラス瓶が主流の東南アジアでも、人口増加や経済発展、嗜好の変化によって、アルミ缶材の需要増加が見込まれています。タイでも、日本と同様にリサイクル率向上に向けた取り組みが今後、必要となるでしょう。

現在、国内では名古屋や福井の製造所でリサイクル用のスクラップ原料用溶解炉が、海外でも米ローガン工場でアルミ缶スクラップの一貫処理設備が稼働していて、多くの原材料がリサイクル材で賄えるようになるなど、世界中でリサイクルの取り組みが加速しています。

吉川 注目している、あるいは重要視している業界はございますか。

石原 アルミニウムの比重は鉄の3分の1で、とくに自動車をはじめとする輸送機器への採用増が期待されています。

自動車メーカーは、各国の環境規制強化により、排ガス低減や燃費向上が求められているほか、蓄電池を搭載したEVなどの電動車が急速に普及していく中で、航続距離を延長するため、車体の軽量化が急務となっています。

そのため、アルミニウムは、ドアやボンネットなどのボディパネル、サブフレームなどの構造材、バンパーといった、さまざまな部分に採用が拡大していて、今後も需要は拡大するとみています。

海外企業に負けない力をつけ日本発の「アルミニウムメジャー」に

吉川 アルミニウムの特性やESGなどのトレンドを踏まえると、環境に優しい素材としてプレゼンスを示せるチャンスを迎えているのではないでしょうか。

石原 私が学生の頃、「これからアルミニウムの時代が来る」といわれていましたが、まさにそのとおりの時代になったと思っています。

昨年から、全国の小学校を訪問してアルミニウムの特長を伝える課外授業などを行っていて、こうした取り組みを通じて、素材としてのすばらしさを社会に広げていきたいですね。

吉川 今後、どのような会社にしていきたいと考えていますか。

石原 グローバル市場に新製品・新技術を提供するため、研究開発をさらに加速させ、日本のものづくりのノウハウを生かした生産を行っていきます。

ちなみに、今年2月には、研究開発拠点であるR&Dセンターのリニューアルを行いました。当センターでは、海外拠点を含む研究開発リソースの最適配置・体制構築を推進していて、お客様と協業し、生産部門と連携するとともに、研究者が互いに刺激し合う環境の構築を目指しています。

私たちはこれまで、日本発のアルミニウム総合メーカーとして、グローバルに事業を展開してきました。今後も引き続き、強い、軽い、再生しやすい、熱伝導率が高いといったアルミニウムが持つ可能性を最大限に引き出し、社会と環境問題解決に貢献していきたいと考えています。