グローバル製造業を支えるパーツセンター変革 第9回物流改革フォーラム
事例講演
パーツセンターの自動化・省人化
自社の産業車両などのパーツセンターに使う倉庫管理システム(WMS)やマテリアルハンドリング(マテハン)機器を開発し、外販も手がける豊田自動織機の熊倉孝氏は、パーツセンターを省人化するGTP(作業者が歩く必要のない定点ピッキング)型マテハン設備に求められる要件を説明。故障や停電があっても人手などでリカバリーして出荷を止めない可用性、増え続ける品目に対応できる拡張性、注文受信からピックまでのリードタイムの短さ、などを挙げた。
これらの要件をすべて満たすシステムとして、シャトルタイプ自動倉庫設備「ADAPTO」を提案。「棚の容量やシャトル台車の台数を柔軟に増やせる仕組みで、パーツセンターに適している」と語った。
この設備は、豊田自動織機が17年に買収した、物流倉庫のマテハンや、空港手荷物、小包仕分け向けの自動化システムを手がけるオランダのファンダランデ社が提供。ファンダランデ社のデュラン・レコ氏は、各シャトル台車が、システム内の棚のどこにでも到達できる仕組みになっているADAPTOの信頼性、効率性の高さをアピール。欧州でパーツセンターをはじめとするさまざまな業種の物流に利用されていることを紹介した。
事例講演
野村不動産が考える顧客の「+α」ニーズを汲み取る
”カテゴリーマルチ型”施設の展開について
首都圏を中心に大規模高性能物流施設「ランドポート」シリーズを展開する野村不動産の鈴木宏昌氏は、業種ごとに異なっているオペレーションの効率を最大化する「カテゴリーマルチ型」施設を提案した。
従来の幅広い賃貸ニーズに対応する「マルチテナント型」は、汎用仕様のため、効率化、自動化が妨げられる恐れがある。テナントがオーダーメイドするビルド・トゥ・スーツ(BTS型)は使い勝手はよいものの、テナントの入れ替えが難しくなり、長期契約が避けられない。
同社が「第3の選択肢」に挙げるカテゴリーマルチ型は、業種を絞った汎用仕様にすることで、オペレーション効率と契約期間の自由を両立させる。同社が、工業材・保守パーツ向けに開発した「ランドポート青梅I」(東京都青梅市)には日野自動車が入居。さらに「ランドポート青梅II」を飲料・パレット重量物向けに建設中だ。また、通販、アパレル業向けの「ランドポート柏沼南I・II」(千葉県柏市)をすでに供給している。現在、同社は首都圏に8棟を開発中で「お客様の『プラスαニーズ』をくみ取れるカテゴリーマルチ型の展開を今後も進めていきたい」と語った。