グローバル製造業を支えるパーツセンター変革 第9回物流改革フォーラム

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ドライバーをはじめとする人手不足の深刻化で、物流業界を取り巻く環境が大きく変化する中、荷主、物流企業らが抱える課題について解決のヒントを探る「物流改革フォーラム」が東京・中央区で開かれた。
第9回となる今回は、サービス化が進む製造業を中心に拡充が求められているパーツセンターがテーマ。企業の物流部門やサプライチェーン部門から参加した約150人が、専門家による物流の最新動向や、先進企業のオペレーションの実例、最新のオペレーション自動化ソリューションに関する講演、さらには物流施設に対するニーズの変化に対応した最新物流センターの紹介に耳を傾けた。
主催:東洋経済新報社
協賛:野村不動産

開会のあいさつ

野村不動産
執行役員 都市創造事業本部
物流事業部担当
山田 譲二氏

協賛の野村不動産、山田譲二氏は、郊外インターチェンジ付近が主流だった物流施設の立地ニーズが、人手不足に伴い、コストをかけてでも通勤に便利な駅近、配送効率の高い都市圏中心部に変わってきたと指摘。「物流に携わる皆さんの課題解決のヒントを提供したい」と語った。

イントロダクション
物流プラットフォームの新たな動き

野村総合研究所
主席研究員
藤野 直明氏

野村総合研究所の藤野直明氏は、世界最高のサービス水準を維持しつつも人手不足や通販事業拡大で深刻化し、待ったなしの「首都圏物流問題」解決の長期的な方向性を示した。

従来のハブ・アンド・スポークの物流システムを、インターネットの構造に倣って、産業構造を含めて再構築、とくに、物流に関わる人とモノなどの資産を機能単位でモジュール化、各事業者が別々に持つ物流センターを共通の「オープン・クロスドック・センター」に転換し、高速道路での早期の活用が予想される長距離トラックの自動運転技術の導入加速、さらに稼働率には、まだまだ余裕がある物流関連資産をクラウドサービス化して、サービス水準を落とさずに稼働率を高める新しい産業構造のアーキテクチャー設計のアイデアを提案した。

「世界で最も切迫した日本の首都圏物流問題を解決できれば、メガシティー化する世界の大都市問題解決の画期的なソリューションとして、グローバル展開もできる」と語った。

特別講演(1)
お客様の車両稼働を支える補給部品センターの刷新

日野自動車
参与 ものづくり本部
生産物流・補給物流領域 領域長
山根 良和氏

日野自動車の山根良和氏は、2019年5月に一部稼働を開始した新補給部品センターを紹介した。同社は、販売した車を安定的に長く稼働させることで、お客様に貢献しようと、予防整備を含めたトータルサポートに注力している。だが、これまでの青梅部品センターは、建て増しした倉庫、借りた外部倉庫が入り組んで動線が煩雑化し、出荷リードタイムが長いなどの問題を抱えていた。

そこで、現センター近くに野村不動産が開発した3階建ての「ランドポート青梅I」を借りて刷新。1階に出荷頻度の高い高流動部品、2階には中流動部品、3階に低流動部品を保管している。

1階は、自動コンベヤーなどで作業効率を高める一方、2階は自動化を抑えて作業員の歩行距離を削減するロボットと人との融合を追求。3階は、できるだけ多くの部品を置くため保管効率を最大化した。また最新の在庫可視化システムにより在庫を圧縮。「人手不足に対応して、人にやさしい施設にこだわった」と、全館冷暖房を完備し、充実した食堂なども整備した。「グローバルのマザーセンターとしてノウハウを蓄積する。さらに、オープンな物流シェアリングに挑み、人手不足、効率低下などの課題を解決していきたい」と語った。

特別講演(2)
Eコマースの急成長によるロジスティクス改革

MonotaRO
執行役 物流部門長
吉野 宏樹氏

工場用間接資材の通販会社、MonotaROの吉野宏樹氏は、インターネット検索にヒットしやすくするための販売アイテム数増と、納期短縮を図りながら、売り上げを年20%ペースで拡大する同社の物流システムについて語った。

在庫型物流センター、ディストリビューションセンター(DC)は、構想から稼働までに約2年かかるため、中長期の出荷・在庫量見通しを基に施設能力や立地を決定。14年の現尼崎DC(兵庫県尼崎市)に続き、17年に笠間DC(茨城県笠間市)を稼働させた。また、仕入れ先からの取り寄せ商品を出荷する通過型物流センターも全国8カ所に開設し、出荷までのリードタイムを短縮している。

DCの在庫品は、平日午後3時までの注文で最短当日発送に対応するため、作業効率化を推進。笠間DCでは、注文商品の入った棚を作業者の前まで自動で運んでくれる無人搬送ロボットを導入し、歩行時間を減らしてピッキング効率を従来の3倍に高めた。「ピッキング効率を高めると、前後の工程にボトルネックが生じやすい」と、工程全体の設計に注意するよう促した吉野氏は「完全自動化はまだ技術的に難しく、人とロボットとの協働を前提に自動化する必要がある」と述べた。

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