世界トップのシンクタンクは日本と何が違うか 米CSISで働く若き日本人研究者に見える光景

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船橋:すごいですね。

越野:インターンとして3カ月間、日本の政治経済やビジネスの情報を発信する中で、自分自身が政策や新しいアイデア、コンテンツを作り出す側で仕事をすることに関心が移っていきました。ならば、世界政治の中心であるワシントンでの実務経験があって、アカデミアの経験もある先生から直接学びたいと考え、自分への出資のつもりで、ジョージタウン大学外交政策学院アジア研究科の修士課程MASIA(Master of Arts in Asian Studies)に進学しました。実務の視点からアカデミックなトレーニングを受けることのできるプロフェッショナルスクールです。

学生時代のインターン経験を語る越野結花氏

ジョージタウン大はインターンを奨励していました。9月に入学してすぐに、マイケル・グリーン先生(CSISアジア上級副所長・日本部長、ジョージ・W・ブッシュ政権時代に大統領特別補佐官や国家安全保障会議アジア上級部長などを歴任)にCSISの日本部門を紹介され、そこで半年働きました。先生はアメリカのアジア外交や日本の安全保障政策の第一人者です。そのほか、在学中にバラク・オバマ政権時代国務次官補を務めたカート・キャンベル氏が設立したコンサルティング会社のアジア・グループにもインターンに行きました。

大学院ではアメリカのアジア戦略やサイバー戦略、中国の軍事戦略などを勉強し、卒業後はアバセントという防衛・航空・宇宙産業に特化した戦略コンサルティング会社で働いていましたが、進学の動機でもあった、政策の現場近くで働きたいという気持ちは強く持ち続けていました。そんな中で、インターンに行っていたCSISからオファーをいただき、現在のフルタイムの仕事に就きました。

エレベーターにキッシンジャーが

船橋:そうすると、ジョージタウンの大学院時代のインターンの経験がものすごく大きかったということですか? 

越野:そうです。もちろんフルタイムとは違いますが、研究所の中に入って、実際にグリーン先生の仕事をすぐそばで見ることができたのは、非常に貴重な経験でした。例えば、北朝鮮がミサイルを発射すると、取材を受けたり公聴会に呼ばれたりします。インターンの仕事は、北朝鮮のミサイル発射の時系列や、メディアの報道の傾向を調べることでした。

グリーン先生がこれからまさに発言しようとすることの、最初のインプットを調べるのですから、やりがいもありました。何より、歴史を作ってきた戦略家が、眼前の問題にどのようにアプローチしているのかを、肌感覚で経験できたのが面白かったです。

船橋:CSISでの半年間のインターンで、最も印象に残ったこと、政策研究を志すうえで役に立ったことを1つだけ挙げるとしたら、何ですか?

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