シリーズ 働き方改革 新時代のリーダーたちへ Sponsored by Dropbox

厚切りジェイソンが日本企業に「Why?」

優秀な人材が海外に出ていく本当の理由

ジェイソン 法律で規制しても、実際は守らない企業が多いと思います。隠れて残業させるようなブラック企業も出てくるのではないでしょうか。

資本主義の基本ですが、いい仕事をする人は、よりよい環境に行きたい。だから、企業の待遇がよければ優秀な人材が集まります。自分の能力に見合った会社でなければ当然、転職するべきです。ところが、日本では待遇がよくないと思っても我慢する人が多い。だから会社は1人2人が辞めても変わらなくていいのです。働く人たちが我慢しないで、よりよい環境に移る覚悟がなければ、働き方改革は難しいと思います。法律ではなく、働く人の意識で変わるのです。

でも、最近の若い人の意識は違いますね。今の若い世代が社会の中心になれば、そうした状況もだいぶ変わってくるでしょう。

―― ジェイソンさんも転職の際には、よりよい環境を求めてきたのですか?

ジェイソン 私は日本語とコンピューターサイエンスのスキルの両方を生かせる会社を求めてきました。なぜなら、自分の持つスキルを必要とする企業に行けば、自分の価値は高くなるからです。アメリカにはコンピューターサイエンスのスキルを持つ人は数十万人いて、いくらでも代わりはいます。そこで、日本語という武器を生かすために、日本法人を立ち上げるというアメリカ企業に就職し、設立に参加しました。しかし、その会社は日本から撤退することになったので辞めて、今度は日本でクラウドサービスを始めたIT企業のテラスカイに入りました。まずは、自分の価値を正しく理解しないといけません。

日本の企業は経験の年数だけで働く人の価値を決める風潮があります。若くても実力があればその価値を認めるべきです。若い人にも責任あるポジションを任せないと、濃い経験はできず、企業にとってもデメリットでしかありません。だから、自分の能力を知っている優秀な若者は外資系企業や海外に行ってしまうのです。

日本企業は専門性を大切にし、生かすことが大切

―― 日米における企業文化やマネジメント手法の違いは、どのようなものなのでしょうか?

ジェイソン アメリカ企業は利益を最優先しますが、日本企業は社員の雇用確保を優先します。経営者としては利益だけを優先するのはおかしいと思いますが、投資家はドライなので、最もリターンのある企業に投資する。だから、アメリカ企業は投資されやすく、日本企業への投資は少ないのです。

個人的には社員の幸せや満足度を高めたいと思いますが、企業の役割はそれだけではありません。いい人材を集め、それらを最大限に生かしてビジネスを拡大することが企業活動の根幹ですから、能力の低い社員は大切にはできない。でも、日本では能力にかかわらず大切にされます。ダメな社員にとっては魅力的ですけど、投資家から見るとバカバカしいのです。

アメリカの事業責任者やセクションリーダーは、結果を最大化したいのです。部下はそのためにいて、そのスキルをいわば道具として使います。目的を達成するためにさまざまなスキルを組み合わせてマネジメントします。だから、期待したパフォーマンスを出せない人は簡単にクビにします。日本では簡単に社員をクビにできないですからね。その代わり、きちんとパフォーマンスを出した人には、その分の評価や報酬が与えられます。それが、働くうえでのモチベーションにもつながっているのです。

―― 企業におけるグローバルな競争はますます激しくなってきます。今後、日本のビジネスパーソンはどのようなことに注意するべきでしょうか?

ジェイソン アメリカはジョブディスクリプション(職務記述書、担当する業務内容や範囲)がはっきりしています。それは会社の目的のため、やるべきことを明確にして採用された人が、最大に目的を達成させるという考え方です。他の人にやらせると目的の邪魔になります。人に負けない専門性が1つでもあれば自分のためにも会社のためにもなります。ただし、いくら専門性を持っていても、それを必要とする会社がなければ意味がありません。

日本企業は今まで、画一的なゼネラリストを大事にしてきましたが、しかし、何でもできる人は何もできない人です。とある著名な投資家が、今の若い人へのアドバイスとして、「なんでもいいから誰にも負けないことを身に付けたほうがいい」と言ったそうです。「日本語×コンピューターサイエンス」のように専門性は掛け合わせることで、より希少性が高まります。一人ひとりが代替不可能なスキルを獲得して、企業はそれを正当に評価する。これからの時代は、そういったまっとうなことがますます求められてくると言えるでしょう。