厚切りジェイソンが日本企業に「Why?」 優秀な人材が海外に出ていく本当の理由
「働き方」をはじめとする日本のビジネス慣習は、グローバルな目線では異質に映ることがある。「日本の常識は世界の非常識」と揶揄されることもしばしばだ。IT企業の役員を務める一方、お笑い芸人としても活躍する厚切りジェイソン氏は「文化レベルで日本の風潮が変わらないとダメ」と指摘する。日米双方の企業を知る立場から日本人の働き方の「Why?」を斬ってもらい、取り組むべき改革のヒントを聞いた。
ムダな時間の使い方、結果より姿勢が評価される
―― 日米双方の企業で働いた経験をお持ちですが、日本人の働き方について「Why?」と思うことはありますか?
厚切りジェイソン(以下、ジェイソン) 会社の風潮もあると思いますが、とくに不思議だったのは、上司が帰るまで部下も残っていないといけないという文化です。また、外資系企業は結果に基づいて社員を評価しますが、日本企業は実力や生産性より、がむしゃらに頑張っている姿勢で評価される印象です。さらに日本独特なのが、自分の事情や考えがあっても、すべて上司の言うとおりに従うことをよしとしていること。中には、休日のお誘いや、引っ越しのお手伝いまで。アメリカではありえない。平気で断りますね。
―― 残業もそうですが、日本人の時間の使い方にはムダが多いと思いますか?
ジェイソン たくさんあります。ある打ち合わせで、私たちは3人で出席したのですが、先方が10人ぐらい来ました。打ち合わせ前に、その一人ひとりと名刺交換しているので、すごく時間がかかったんです。とても顔と名前を覚えられないですし、重要な要件は後で担当者同士がするでしょう。全員と名刺交換する意味があるのでしょうか?
ほかにも1時間かからない会議に、枠を時間単位で取ることもムダと言えるでしょう。また、営業職などは目的もなく、とりあえずお客さんのところに行きますよね。顔を出すのが大事だといわれているようですが、ただ相手の時間を奪っているだけでそれもムダ。それに、何かトラブルがあったらすぐ謝りに行きますよね。アメリカでは、すぐ問題を修正すればそれで終わりです。先方もわざわざ会って謝罪してもらおうなんて思わない。終わったことを話しても時間のムダだからです。
働き方改革は働く人の覚悟と意識改革が問題
―― 労働時間の上限規制など、働き方改革関連法が施行されました。日本の働き方は変わっていくでしょうか?