キャリアデータ活用により与信モデルを高度化
― まず主な事業内容と、業績について教えてください。
石月 貴史
Takashi ISHIZUKI
1990年、KDDI入社。財務部などを経て、じぶん銀行設立に参画。2011年、KDDIに帰任。「au WALLET構想」の具現化に向け、当社設立を企画。14年、当社設立と同時に現職。
石月 現在は、auユーザー向けのクレジットカード「au WALLET クレジットカード」の発行、KDDIの通信料金の回収事務などを代行する決済代行事業に加えて、この4月からは、小額ローン「au WALLET スマートローン」の提供を開始しました。業績は、2018年度営業収益485億円、経常利益32億円で、利益については前年度対比約2倍まで伸ばすことができています。また、クレジットカード会員数も400万人を突破しました。今もそのよい流れを継続できていることから、今年度は、会員数が500万人を突破する見通しです。設立7期目に入りますが、設立当初に立てた計画どおり順調に業績を伸ばすことができています。
「au WALLET クレジットカード」の会員数は、400万人を超え、順調に伸びている。2019年度末には500万人を超える見通し
― 業績が順調に拡大していますが、御社の強みはなんでしょう。
石月 2つあります。1つ目はKDDIグループが持つ、キャリアデータをはじめとする膨大なデータを活用した精度の高い与信モデルを、KDDIの強力なアセットの下で活用できることと考えています。その結果、早期に事業を収益化し、次の事業展開も迅速に図ることが可能となる。そこで得られた経験値が、与信モデルをさらに向上させる、というよい循環を生みます。14年2月の創業以来、決済代行事業、クレジットカード事業、小額ローン事業と早いペースで拡張してこられたのは、この強みがあったからこそと言えます。
2つ目は、「信用を通じ人々の生活に資する」という企業理念の下、どうしたら人々の信用の総量を増やせるか、つまり、これまでの金融の仕組みでは、なかなか金融サービスを受けることが難しい方々に、当社の金融サービスを届けたいという思いを全社員が強く持っていることです。いくら良質なアセットを持っていても、この強い思いと努力がなければ、今の業容は実現できなかったことでしょう。
顧客メリットを徹底的に追求した先に
― 今年4月からスタートした小額ローン「au WALLET スマートローン」の特徴を教えてください。
石月 本サービスは、KDDIが掲げている「スマートマネー構想」、つまりスマートフォンをお財布代わりとし生活の基盤とする構想の一翼を担うものだと位置づけています。
特徴としては、お申し込みからお借り入れまでをスマートフォンで完結、24時間、365日ご利用可能で、紙での郵送物は原則ありません。急な出費にも、スマートフォンがあれば、いつでもどこでもお借り入れすることができます。ご利用可能額も1~50万円と小額に設定しており、使いすぎのリスクも軽減するようにしております。本サービスの最大の特徴は、お借り入れ金を「au WALLET 残高」にチャージすることができる点です。チャージした残高を「au WALLET プリペイドカード」やこの4月にKDDIが提供を開始したQRコードを使った決済「au PAY」でご利用いただくことができます。日常の必需品購入やお食事のシーン等でそれら決済手段を使っていただくことで、「au WALLET ポイント」を貯めることができ、その貯まったポイントを再度消費に回していただくことができます。
本サービスでは、ただお金を貸すだけでなく、お客さまが実際にお金を使うタイミングに加え、使った後もメリットを感じて頂ける設計となっており、さらにKDDIグループの技術を活用したマーケティングにより、お借り入れを検討している方へ最適なタイミングでオファーを出すこともでき、使い方によっては、ポイントが貯まるサービス設定となっていることが特徴ですね。
金融と通信の融合で更なる事業拡大
― 今年4月に御社をはじめ、KDDIグループの金融関連会社が結集し、新たな金融持株会社auフィナンシャルホールディングスが発足しましたね。
石月 KDDIグループは、携帯キャリアの中でも比較的早くから金融分野へ進出し、積極的に事業展開を行ってきました。今回、金融持株会社が発足したことで、各社の事業経験を集約した新たな金融サービスの開発体制も整備され、KDDIグループが保有する金融ソリューションを一気通貫でお客さまへ提供することが可能となりました。通信系の金融会社として、これまでにない金融サービスをチャレンジ精神のあるグループ各社のメンバーと共同で創り上げていきたいと考えています。
― 今後は、どのような事業展開を考えていますか。
石月 私は、信用の総量を増やすことが人々の生活を豊かにすると信じています。そのためには、あらゆる可能性を追求し与信モデルを高度化していく必要がある。そして、そのスコアリングモデルを基点に新たなサービスを創造し、多くの方に届ける必要があるでしょう。
企業理念である「信用を通じ人々の生活に資する」の下、KDDIグループの一員としてauのお客さまにより良いサービスを提供することはもちろんのこと、今後はau以外をご利用のお客さまも視野にいれていきたい、国内にとどまらず海外にも目を向けてみたいと考えています。われわれの提供した信用が人々を豊かにし新たな信用が創造される、そんな連鎖をつくれるよう今後も努力する所存です。