営業改革Spring'19 提案型営業への組織改革 リーダーが理解すべき「営業の基本」

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課題解決講演
アタマで稼ぐ営業組織への改革7つのステップ
~個人の技量に頼らない売れる組織作り~

セールスフォース・ドットコム
マーケティング本部
プロダクトマーケティング
マネージャー
秋津 望歩氏

セールスフォース・ドットコムの田崎氏は、営業組織の規模が拡大し、提案型案件が増えるにつれて、エクセル管理が限界を迎え、営業支援ツール導入が進むことを指摘。「今の営業活動は、営業部門だけでは完結できず、営業戦略・支援部門との情報共有が重要になっている」と説明した。続いて秋津望歩氏が、変革後の営業のビジョンを提案。セールスフォースで情報を顧客軸で整理、情報共有を容易にして、複数の営業担当・部門間のシナジーを創出する。顧客や案件のランクごとのアプローチ手法を定めたうえで、ランクをシステム上で共有し、営業活動の標準化を実現。受注可能性の高い顧客を見極めるテクノロジーでデータに基づく市場戦略を行う、の3点を示した。そこに至る変革プロセスを、きっかけ、プロジェクトチーム結成、価値観すり合わせ、ツール選定、トレーニング、KPI見直し、定着の7段階に整理した田崎氏は「営業案件は多様なので、社内で価値観をすり合わせ、営業の仕事の定義を決めてほしい。今は、支援部門と分業ながら、営業担当が顧客に深く関わることに集中しなければ、受注につなげることが難しい」と述べた。

事例講演(営業人材の開発)
“組織”で戦う営業部へ
~Sansanが取り組んできた現場の仕組みづくり

Sansan
Sansan事業部
事業企画部
Sales Enablement Group
畑井 丈虎氏

法人向けクラウド型名刺管理サービスを展開するSansanの畑井丈虎氏は、急成長を支える営業改革の取り組みを語った。

2007年創業の同社は、製品が市場に受け入れられる段階を経て、17年から導入企業数・売上の拡大を図っているが、人員の急増により、マネジャーが密接に関わって育成する新人教育が困難になる課題に直面。18年、事業企画部内に教育プログラムを専門に提供するセールス・イネーブルメント・グループを設置した。「従来の延長線上のやり方では通用しない」と、教育だけでなく、営業戦略、営業目標管理などの業務設計、目標達成に必要な採用・評価などを計画的に行うための制度設計まで含めた統合的な見直しを実施。畑井氏は「営業プロセスの定義がなければ、どこが弱点か特定できず、適切な教育ができない。とくに業務設計がカギ」と指摘した。セールスフォースのプラットフォームを使い、同じクラウド業態である同社の営業プロセス管理「The Model」に倣った仕組みを構築した結果、新人の定着期間は短縮され、営業生産性も向上。「IT活用に加え、PDCAや人材育成もケアすれば営業改革はよりよいものになる」と述べた。

事例講演(営業改革の進め方)
「GE流 営業改革」
~つまずきからの学び

GEヘルスケア・ジャパン
デジタルオペレーショングループ
グループ長
辻本 光氏

医療機器事業を手掛けるGEヘルスケア・ジャパンの辻本光氏は、セールスフォース導入過程で得た教訓を語った。同社では、手帳やエクセルなどに情報が散在し、営業の活動進捗が把握できていなかったことからセールスフォース上に情報を集約、共有することを目指し、12年から導入を開始。16年から活用・拡張のフェーズ3に入る予定だったが、「19年現在でフェーズ2・5」にとどまっている。遅れの原因は、1ページに収まらないほど多くの項目が並んだ新規商談の入力画面に象徴される「情報の求めすぎ」にあったとする辻本氏は「営業の膨大なデータを収集、分析しようとしたが、入力の手間を担う営業担当とメリットを共有できなければ、持続しない」と反省。現在は、モバイル端末でも見やすい画面にするために必要情報を絞り込み、チャットボットを使った入力支援の仕組みづくりなどを進める。システム導入にあたって、まず使ってみる、詰め込みすぎない、プロセスをシンプルにして営業を楽にする、の3つの教訓を得た辻本氏は「セールスフォースを使いこなすところまで行けば、必ず営業を改革できる」と語った。

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