どうする中小企業?誤解だらけの働き方改革 トップダウンで進められない企業は失敗する

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働き方改革の究極的な狙いは、「日本企業の生産性を高め、国際競争力を高めることにある」と日本総合研究所チェアマン・エメリタスの高橋進氏は語る。労働者の幸福度向上のためと思われる働き方改革の推進が、なぜ企業の競争力向上につながるのか。高橋氏に、日本企業、とくに労働時間の削減が難しいとされる中小企業が、この機に実践すべき生産性向上策の視点を聞いた。

働き方改革は、残業時間の削減や有給休暇の取得日数の増加が目的であるかのように語られることが多いが、それだけではない。企業は、働く時間を単に短縮するのではなく、短い労働時間で大きな成果が得られる働き方に移行できるかが問われているのだ。

働く時間を削減しながら事業を維持・拡大するためには、企業活動の生産性向上が欠かせない。そのためには、各企業が、これまで躊躇していた業務改革や組織改革を実施し、さらにはITなどへの投資を活発化させる必要がある。そして、働く人も、仕事の進め方や時間の使い方を改善し、新しい働き方に適応することが求められる。日々の業務に忙殺されているようでは、新しい働き方に適応することはできない。いったん立ち止まって自らの働き方を見つめ直し、どこを・どのように変えるのかを考える必要がある。残業時間の削減は、そうした変化に対応するための時間のゆとりを生むために行われるのである。

いつまで経っても労働時間が長い日本

現在の日本の労働者は、欧州の先進国に比べて労働時間が長い。GDPは世界第3位を維持しているものの、日本の1人当たりの労働生産性はOECD加盟36カ国中21位だ(※)。先進国の中では比較的多い労働人口と長時間労働が世界第3位を支えていると言えるだろう。

長時間労働を前提にした働き方は、生産性が低いだけではなく、育児や介護など、それぞれの事情を抱えている労働者に不寛容だという問題もある。

「こうした状況は、必ずしも企業側が過剰な労働を強いている結果ではないと考えています。どこの企業でも、だらだらと会社で長時間過ごすことが当たり前と思っている人は多い。ずっと仕事に集中して取り組んでいるわけではないので、仕事の生産性は当然のように低下します。こうした働きぶりが定常化すると、会社のワークフローや人事制度、賃金体系が、長時間労働を前提に出来上がってしまうため、子育て中の方や非正規雇用の方は、対等に競争できなくなってしまいますし、効率よく仕事をしようとするモチベーションも上がりません」

(※)日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」より

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