「必要な場所」に「必要な医薬品」が届く理由 災害時に再認識する医薬品流通企業の重要性

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山陽自動車道は通行止めになり、国道や県道も寸断、中には水没した幹線道路もあった。同社では、災害時に通行できるよう県に緊急車両のナンバーを登録していたことなどから、優先的に通行することができた。

一時、周辺の道路が寸断して「陸の孤島」となっていた広島県呉市へは、県に要請し、自衛隊のヘリコプターで医薬品を空輸してもらったという。

また、県からの要請に応じ、薬局が機能しない場合でも、医師の処方薬を提供できる車両「モバイルファーマシー」への医薬品の納品も並行して行った。

これらはいずれも、県内の医薬品卸企業が加入している広島県医薬品卸協同組合と広島県が災害時の医薬品供給に関する協定を締結するなど、関係団体が事前の関係づくりを行ってきたからできたことだ。

同社は、熊本地震や九州北部豪雨などの経験から、医薬品の安全保管はもちろんのこと、飲料水や洗浄水、軍手、タオル、長靴など、災害時に必要なものを各事業所にストックしている。このため、災害直後から十分な態勢を整え、医療機関からの要請に柔軟に対応できたのだ。

復旧活動の支援や支援物資の提供も

四国を主要営業エリアとする医薬品卸企業の取り組みも興味深い。

同社は、自社の支店が浸水し、断水が1カ月続いた。さらには、出社できない従業員もいる中、医薬品の安定供給に努めただけではなく、文字どおり全社一丸となって医療機関の支援活動を行ったのだ。

愛媛県内のある支店では、日曜日ではあったが出社可能な社員を募り、複数の医療機関を訪問。飲料水や簡易トイレ、ブルーシートなどを要望に応じて提供した。浸水被害が大きかった地域には、本社の社員も応援に駆けつけ、清掃作業や家具・電化製品の廃棄作業を手伝ったほか、内装業者の紹介なども行った。

医療機関の中には、水没して使えなくなった薬剤を多く抱えるところもあった。メーカーによる被害の救済が受けられるものもあったため、同社は、廃棄前薬剤のリスト作成や写真保存などをアナウンスし、救済依頼手続きを実施するとともに、自治体による罹災りさい証明書発行の申し込みの支援まで行ったという。

同社では、別の支店でも医療機関への医薬品の納入だけではなく、取引先の復旧活動の支援や支援物資の提供などを行っている。

こうした取り組みが奏功し、医療機関の多くは、1週間程度で通常業務を再開できたという。

2つの企業の例に限らず、西日本豪雨の際には、各地の医薬品卸企業の多くが、被災地を訪れて状況を確認し、必要な場所に必要な医薬品を届けた。

こうした医薬品卸企業の活動により、災害時における医薬品卸企業の重要性が改めて見直されている。医薬品卸企業は今後さらに、行政や製薬企業をはじめ、関係団体とも連携しながら、災害時の医薬品供給の中心的存在として、活躍してくれることだろう。