ランニングで海を守る、アディダスの本気 2024年までに全製品をリサイクル可能に

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「昨年開催されたこの『Run For The Oceans 2018』には、全世界で約100万人のランナーが参加し、総走行距離は1240万キロ以上を記録しました。日本でも約1万5000人のランナーが参加しました。多くの参加者に、海洋汚染について考えていただくきっかけになったと思っています」

実は、アディダスと「Parley for the Oceans」とのコラボレーションによる海洋環境保護の取り組み自体は、2015年から始まっている。2016年には、海岸沿いで回収された廃棄プラスチックから製造した糸を使用した画期的なシューズの試作品を発表。その後、量産体制が整い、2017年に「ウルトラブースト パーレイ」として一般発売。同年アディダスは、廃棄プラスチックを再利用したシューズを計500万足生産した。

2024年までに全製品でリサイクル素材を使用

海洋プラスチック廃棄物からつくられたアディダスのランニングシューズ。 2019年は海洋プラスチック廃棄物を使用したシューズを1100万足生産する予定

「私たちにとってかけがえのない海がプラスチックで汚染されています。『Run For The Oceans』の大きな目的は、そうしたことに対する意識をユーザーの方々の中で高めていただくこと。同時に、私たちスポーツブランドにとって、プラスチックの一種であるポリエステルは商品の生産に欠かせない素材ですので、将来のために代替素材を見つける必要がありました。それだけに今回確立されたエコ・イノベーションは、サステナビリティ戦略を進める当社にとって、非常に重要な一歩といえます」(アンジェラ氏)

ちなみに同プロジェクトとは別になるが、アディダスは2021年春夏に、100%リサイクル可能な(製品を丸々リサイクルできる)ランニングシューズ「フューチャークラフト ループ」の一般発売を予定している。さらに2024年までには、なんと同社の全製品で100%リサイクルのポリエステルを使用することを公約している。アディダスは決して体裁だけでなく、紛れもなく“本気”でサステナブルな世界を実現しようとしているのだ。

深刻な海洋汚染につながるプラスチックゴミの問題は、世界的な問題となっている

近年の海洋プラスチックの問題は、非常に深刻といえる。世界の海には1億5000万トンものプラスチックゴミが存在し、そこへ少なくとも年間800万トン、実にジャンボジェット5万機分の重さにあたるプラスチックゴミが新たに流入していると推定される。日本近海も例外ではなく、マイクロプラスチック(5mm以下の粒子となったプラスチック)の濃度は、世界平均の27倍にあたるという調査結果もある(※)。日本人にとっても海洋プラスチック問題は、まったく対岸の火事ではないのだ。

そうした中、アプリを使って走るだけで海洋環境の保護に参加できる「Run For The Oceans」は、環境のために何かいいことをしたいけどなかなかできないという人にとって、まさに絶好の機会だ。当然、走ることで自分の健康増進やリフレッシュも図れる。アディダスとしても、自社の姿勢を世に広められる。サステナビリティを本気で実現しようと考えるアディダスならではの見事な“三方良し”の仕組みなのである。

※出典:国際環境保全団体・WWFジャパンのHPより
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html

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