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「昭和的働き方」の終焉で何が起こるか? 実は厳しい「働き方改革」がもたらす現実

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働き方改革関連法に対応するためには「抜本的な業務の見直しが必要」だと語る倉重公太朗氏 

日本では、終身雇用、年功序列の賃金体系が保障されていたことにより、男性を中心に会社、仕事に粉骨砕身する昭和的働き方が長く美徳とされてきた。しかし、多くの企業が終身雇用や賃金上昇の保障もできなくなった今、1社に勤め上げることがいいとされる時代は終わった。これから日本の働き方はどう変わるのか。倉重・近衛・森田法律事務所代表弁護士の倉重公太朗氏に働き方改革関連法のポイントを聞いた。

上限規制のシワ寄せ、人件費増大が懸念される中小企業

働き方改革関連法には、大きな2つの柱があると倉重氏は話す。社会構造や価値観が変化する中、社会問題化した長時間労働、まさに昭和的働き方の改革だという。

「1つは、残業時間は原則月45時間とし、月45時間を超えることができるのは年間6カ月までとするなど、労働時間の上限規制です。これまで日本は労働時間に法律上の上限規制はありませんでした。日本の労働法史上、これが初めて導入されたことは画期的なことです。それに付随して有休5日付与義務があります。今後、長時間労働に頼って成果を上げていた企業は変わらざるをえません。刑事罰もあるので、順守すべき至上命題となります」

上限規制は、まず大企業から適用されているが、2020年から中小企業に対しても適用され、その影響はさらに大きくなると倉重氏は見ている。大企業は人を雇用し、一部業務を子会社や下請けに発注できる。では、下請け会社はどうするのか。中小企業は下に行けば行くほど、人件費、外注費を出す余裕はない。さらに人手不足も追い打ちをかけ、このままでは中小企業の誰かが無理をして、どこかにシワ寄せが行くだろうと倉重氏は警鐘を鳴らす。

では、中小企業はどのような対策が必要なのか。倉重氏は「業務のやり方を抜本的に見直すこと」だという。無駄な会議や資料作りの排除は当然として、例えば、夜8時以降の顧客対応はしない、不可能な納期の仕事は受けないなど、思い切った経営判断が求められるという。さらに、中小企業は最新のITテクノロジーに投資して業務の効率化を図ることも必要な対策になるとしている。

もう1つの大きな柱は、同一労働同一賃金をはじめとする非正規雇用の待遇改善だという。

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