「若者のスーツ離れ」が仕事に与える大損害

お金もセンスも不要!身だしなみの基本のき

車、お酒、タバコ……。さまざまな「若者の○○離れ」が言われるようになって久しいが、スーツもその一つ。と言っても、仕事の本流ではなくスーツの着方、身だしなみで損をすることだけは避けたいものだ。特別なセンスがなくても、高価なものを買わずとも、スーツをしっかり着こなしてビジネス偏差値を高める秘訣はどこにあるのか。ファッションコンサルタントのたかぎこういち氏と、アクセンチュアのシニア・マネジャーとして人事に携わる東由紀氏が指摘する、ビジネスに必要な身だしなみの基本とは?

スーツの基本は知らなくて当然。初心者が注意すべきは

たかぎ ビジネスパーソンにとって、最初にスーツを着るきっかけは大学入学、または就職活動でしょうか。スーツの基本常識やビジネスにおけるTPOを知らないまま、社会人デビューしている人も多い。しかし、こうしたことは教わる機会もないし、教えてくれる人もいませんから、知らないのが当たり前です。

東 由紀
アクセンチュア 人事部 シニア・マネジャー

 1人のプロフェッショナルとして社会に出る時、相手からの見られ方、とくに第一印象は重要ですね。社内会議の時、プレゼンの時、営業に出向く時……それぞれのTPOに合わせて、どんな服装がいいのか考える意識が大事だと思います。スーツ初心者は、まずどこに気をつけて選べばいいでしょうか。

たかぎ はい、まず大事なのはサイズ感です。とくに男性の場合は、肩の位置が合っているかどうかと、シャツの襟や袖がジャケットから数センチ出ているかどうかをチェックしましょう。ちなみにもともとスーツは、軍服を原型として19世紀のイギリスで生まれたもの。シャツの襟や袖をジャケットから少し出すのは、ジャケットの襟や袖を汚さないために作られた文化ですが、時とともにそれが美しいかたちだと認識されるようになったといわれています。

 身だしなみの一つひとつには、必ず由来がありますね。

たかぎ 同様にネクタイは、あくまで首につけるものですから、先がベルトの下まで出ないように結ぶと美しく見えます。パンツは、ゆったりしすぎるものは印象が良くないので避けたほうがいい。スーツを買うときは、まずこれらをクリアできれば合格点でしょう。

 女性の場合、スーツの形や柄、色にバリエーションが多くて選ぶのが難しいですが、やはりTPOに合わせるのが確実だと思います。例えば社外の人も参加する正式なミーティングで、フリルが付いた華美なスーツを着ていたら場違い感は否めませんし、仕事を任せにくいと思ってしまいます。

たかぎこういち
タカギ&アソシエイツ代表、ファッションコンサルタント、スタイルアドバイザー。1952年生まれ。98年現フォリフォリジャパングループとの合弁会社取締役に就任。以後、海外ブランドを多々日本に広めるほか、東京モード学園や文化服装学院の講師も務める。『一流に見える服装術』(2018、日本実業出版社)など著書多数

たかぎ ファッションに堅苦しいルールはいりませんが、ビジネスの場では必ず相手がいますから、男女ともにルールが存在します。ただしルールさえ守れば、その中でいくらでも自己表現できるんです。例えば男性なら、スーツの色は紺とグレーが基本。そこに組み合わせるシャツやネクタイは、無数の組み合わせが可能です。

 そうですね。女性の場合、昔はリクルートスーツではスカートが基本とされていて、パンツは避けたほうがいいと思われていましたが、今ではそうでもありません。逆に、昔は紺やグレーのリクルートスーツもあったのですが、時代を経て、今ではなぜか黒一色。黒はフォーマル度が高すぎて、外国人には奇異に見えているとも聞きました。これだけ女性の社会進出が進み、働き方も多様化していますから、「スーツを選ぶ」ということにも何か新しい意識が必要かもしれません。

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