ブロックチェーンの本質は「信用創生」

企業が生き残りをかけて挑むデジタル変革

AI、IoTと並び注目を集めている新テクノロジーといえば、ブロックチェーンだろう。企業のデジタルトランスフォーメーションの支援をすべく開設された「KPMGイグニション東京」でも、研究・開発における柱の1つとして位置づけている。同社の取り組みをひもときつつ、ブロックチェーン技術の「今」と「これから」を追った。

ブロックチェーンといえば、ビットコインをイメージする人が多いだろう。だが、ブロックチェーン技術は進化を続け、今や金融の枠を飛び出して、証明書の発行やトレーサビリティー、スマートコントラクトなど、管理コストを下げつつも、従来よりセキュリティー信頼機能と自動化を実用化するために、研究・開発が進められている。

欧米と比べて社会の信頼性が高い日本では、取り組みが遅れ気味だという。KPMGジャパンのイノベーション促進拠点「KPMGイグニション東京」でディレクターを務める豊田雅丈氏は次のように解説する。

KPMGイグニション東京
ディレクター
豊田雅丈氏

「欧米、とくにヨーロッパでは、ICチップ入りの本人確認ができるクレジットカードしか使えませんが、日本では2020年までの導入予定で、まだサインによる本人確認が残っています。それは、『偽装される心配がない』信頼性の高い社会であるからです。ですが、クレジットカード詐欺や食品偽装などの事件・事故が相次いでいるため、今後はブロックチェーンの本質である『信用創生』に注目が集まるでしょう」

「集中型」システムと「分散型」システムの違い

どのようなビジネスにおいても、取引の信頼性が重要であることは言うまでもない。ただ、多数の参加者がいる取引で、信用創生のシステムをつくるためには、今のところ、取引におけるリーダー的な企業が、そのブランドや履歴で信頼性を担保することが多い。

そのため、人件費やシステム構築費、維持費などの中央管理者としてのコストがかかるうえ、情報漏洩や不正といったリスクが集中してしまう。これは、さまざまな端末から発生する新規データを中央のデータベースがチェックし、管理する「集中型」システムであるがゆえに発生する問題だ。

一方、ブロックチェーンは、新規データを銀行通帳のようなブロックに記入し、それを暗号化した状態で何千、何万というコンピューターが重複や不正がないかを調べ、大多数が問題ないと合意すると、そのブロックが承認され、前のブロックに鎖のように追加される。いわゆる「分散型」のシステムである。

「中央データベースのないブロックチェーンの分散型システムを活用すれば、集中型よりコストや事故、不正のリスクを下げつつ、信用創生のシステムを構築できるのです。例えば、クレジットカードの決済手数料は今3~4%ですが、1%未満に引き下げられるかもしれません。実現にはこれからPoC(Proof of Concept)で、実装しながら検証していく必要があります」

「KPMGイグニション東京」は、ブロックチェーンをはじめとする新しいテクノロジーの活用へ積極的に取り組んでいる。KPMGが持つ会計や税務、コンサルティングの知見と新たなテクノロジーを融合し、信用創生のシステム構築や新しいビジネスモデルを創出することが狙いだ。

KPMGでは、「KPMG Origins」というブロックチェーンの統合ソリューションを開発し、今年前半のリリースを予定している。

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