金融機関のデジタルシフトを考える

「顧客本位」のサービス価値創造を

IBM Speech
金融デジタル・トランスフォーメーションへの取り組み事例

日本アイ・ビー・エム
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
金融コンサルティング統括
パートナー
林 智洋氏

IBMの林智洋パートナーは、システム開発要員のスキル不足、デジタルネイティブのミレニアル世代が社会の中心となる顧客の変化、プラットフォーマーの金融分野への進出、規制ルール変更などの環境変化を受けた銀行は、デジタル・トランスフォーメーションが必須と強調。デジタル化でCD依存の事業を破壊された音楽業界を教訓に、金融業界は「デジタル化でサービス提供を向上させ、フィジカルとデジタルを組み合わせた変革を急ぐべき」と訴えた。同社とリサーチ会社のインタビュー調査からは、一人ひとりに寄り添う金融サービスへのニーズが依然、高いことがわかるとして、データ分析を活用し、一人ひとりにパーソナライズした多様なサービスをするビジネスモデルに転換できれば「大きなチャンスになる」と強調した。顧客との関係性を引き続き強化するため、ATMの画面表示、メール、電話、店舗などのチャネルを有機的に連携させて顧客の潜在ニーズをフォローするオムニチャネルマーケティングの試みを紹介。IBM会計データ・オン・クラウドによる業界横断的なデジタル化、パーツにした機能から、迅速、柔軟にシステムを組み立てるマイクロサービス基盤を使ったITアーキテクチャ再構築を提案。「銀行自身がデジタルシフトを体感し、デジタル時代においても最も信頼できるパートナーとして顧客のさまざまな可能性を支援して行くことが求められている」と語った。

Guest Speech I
ローソン銀行のデジタル・シフト
ATMサービス・インフラの
デジタルバンキング・プラットフォーム化

ローソン銀行
代表取締役社長
山下 雅史氏

2018年10月、ローソン店内のATMの運営会社を引き継ぎ、顧客サービスを開始したローソン銀行の山下雅史氏は「ATMをデジタルシフトさせ、新しいビジネスを展開したい」と、銀行設立の狙いを語った。ローソン銀行は、全国約1万3500台のATMと、100以上の金融機関とを接続するインフラを有する。過去18年間、現金入出金に使われてきた信頼性の高いインフラをキャッシュレス化に対応させ、電子マネーなどのチャージや支払データも処理できるようにする。これにより、ローソン銀行を介して銀行と電子マネーなどの事業者とが幅広くワンストップでつながる「デジタルバンキング・プラットフォーム」を構築。顧客は、スマートフォンを使い、銀行口座から、使いたい電子マネーなどにチャージができる。将来は、決済にとどまらず、金融機関が提供する金融商品をはじめ、あらゆる商品を販売するマーケットプレイスのプラットフォームにも活用することを目指す。ATMコストを削減したい金融機関向けには、ATM運営を受託するサービスも準備中。「顧客が求めるものを提供する黒子として、今までにないサービスを提供していきたい」と話した。

Guest Speech II
デジタル時代のイノベーション
―J-Coin Payの取り組み―

みずほフィナンシャルグループ
理事
山田 大介氏

みずほFGの山田大介氏は、全国約60の金融機関と協働した銀行系電子マネーのプラットフォームとして、QRコードを活用したスマホ決済サービス『J-Coin Pay』について説明した。システムは、実績のあるパッケージの活用により、安価に構築。銀行側は、キャッシュレス化による、ATM設置台数の削減や、現金事務スペースが大きい支店の規模縮小によるコスト削減を狙える。このままほかの決済事業者の台頭が続き、銀行が決済の主役の座を追われれば、将来、期待されるビッグデータを使った新規ビジネス展開も難しくなるとして「逆襲」に転じる構えだ。加盟店に対しては、銀行の現金事務コスト削減により手数料を抑え、中国・アリペイなどと提携して海外のQRコード決済を利用可能にすることでインバウンド需要獲得のメリットを提供。銀行系電子マネーとして、『J-Coin Pay』アプリから預金口座へ自由に入出金できるようにしてユーザー利便性も高めた。個人間送金も24時間いつでも無料で、割り勘のほか、学校の給食費、寄付などの少額現金収受での利用にも期待する。「銀行の信用力、顧客基盤を使い、最も社会的コストを安く、便益を高くして、百花繚乱の電子マネー競争を勝ち抜きたい」と語った。

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