Digital Reinvention Conference 2019

大企業におけるイノベーションの実現

講演と鼎談
日本の大企業のイノベーション
~企業文化と仕組みの視点より~

日本アイ・ビー・エム
理事
グローバルビジネスサービス事業
インタラクティブ・エクスペリエンス事業部長
藤森 慶太氏
日本アイ・ビー・エム
執行役員
グローバルビジネスサービス事業
戦略コンサルティング&デザイン統括
池田 和明氏

大企業のイノベーションには「トップのコミットメント」に支えられた企業文化と、「イノベーション創出の場・仕組み」が重要とした紺野登氏が、イノベーション創出を支援するIBMの取り組みを聞いた。デザイン思考を使って、顧客・従業員体験から既存ビジネスの再定義を支援する藤森慶太氏は、新規事業創出部門と既存事業部門の間にできる不可侵の壁、マネジメントが期限を区切って結果の成功にコミットを求めるミッション先行の手法が、イノベーションを妨げると指摘。スタートアップ的な失敗を許容する企業文化をカギに挙げ、「イノベーションの基礎となるビジョンを共有できれば、官僚主義からの脱却は可能」と語った。事業戦略コンサルティングの池田和明氏は、経営者調査「グローバル経営層スタディ」から、業界のリーダー企業がデジタル技術を使って自らの業界の創造的破壊を進めていると分析。企業に不足している、イノベーションの進め方の知識や人材を補完し、顧客、コンサル、デザイナー、データサイエンティストらが一堂に会して、アイデア検討、プロトタイピング、修正のサイクルを回す”場”を提供するIBMの「Garage」を紹介した。

パネルディスカッション
大企業におけるイノベーション
~成功の秘訣とチャレンジ~

日本航空(JAL)
執行役員
イノベーション推進本部長
西畑 智博氏

続くパネルではIBMがイノベーション創出を支援している2社が登壇。JALの西畑智博氏は、社内起業家オーディションや、スタートアップを含めた社外の技術と社内の現場にある課題をつなぐため、テクノロジーを実際に見られる場としてラボを推進。イノベーションに対する理解・支援を広げるため、経営陣や部課長級にラボを訪問してもらう試みや、イノベーションに取り組みたい社内有志を集める「ラボ会員」制度も導入してきた。「経営陣、部課長、若手の3つの層を巻き込み、大きな変化を起こしたい」と話した。

三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(M-FET)
事業戦略本部 担当部長
松尾 淳氏

顧客と一緒に課題解決を共創するラボを開設したM-FETの松尾淳氏は「これまで営業が聞けなかった顧客の課題やデータを教えてもらえるようになった」と述べ、供給側と需要側の関係が変わる中で、需要側のニーズを知る大事な場になっているという考えを示した。ラボの成功には今後、多様な人材が必要になることから「『勝ち馬』かもしれないと思って人が集まってくれるような雰囲気を社内に広め、研究所や事業部を巻き込むことが必要だと思う」と語った。

日本アイ・ビー・エム
シニアデザインマネージャー
グローバルビジネスサービス事業
クリエイティブ&デザイン
柴田 英喜氏
日本アイ・ビー・エム
アソシエイトパートナー
グローバルビジネスサービス事業
戦略コンサルティング&デザイン統括
田村 昌也氏

IBMの「Garage」サービスで、イノベーション推進戦略を支援する田村昌也氏は「企業が、新規事業のほか、既存事業でもイノベーションに取り組み始め、本気を感じる。マネジメントは、事業化につながるイノベーション領域を示す役割が大事」と話した。柴田英喜氏はデザイン思考について「部門を超えてユーザー視点に立てば議論を整理しやすい。アイデアを形にして現場に返すループを回し、生み出した成果を駆動力にすれば、多様性のあるチームを一つにできる」と語った。

名古屋商科大学ビジネススクール
教授
Center of Entrepreneurship, Director
澤谷 由里子氏

モデレーターの澤谷由里子氏は「デザイン思考は、日本のワイガヤの手法に通じ日本文化に根付いている。よりよい社会創造のために、枠を超えて企業は自信を持って取り組むべき」と締めくくった。

クロージング
明日から始めるイノベーション

紺野登氏は、イノベーションを起こすには、モノの機能プラス意味的価値というこれまでの図式を転換して人間価値起点のサービス・経験から考える。上手に試行錯誤することがイノベーションの本質で計画主義とは合わない。ロジックでやるべきことを決めるのでなく、主観や共感を重んじてやってみようということをやる。よい目的を定めて人を巻き込む、ということに留意すべきとまとめた。

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