Digital Reinvention Conference 2019 大企業におけるイノベーションの実現
主催:東洋経済新報社
協力:日本アイ・ビー・エム
メディアスポンサー:インフォバーン
オープニング
今なぜ大企業に
イノベーションが必要なのか
イノベーション経営を推進するJINの紺野登氏は、企業の利益は既存市場での改善で増やせるが、売り上げの成長をもたらすには、主力事業の出島・飛び地ではなく、既存・新規・関連事業のすべてを対象にしたイノベーション経営が必要と指摘。会社のリソースを新たな枠組みで捉え直す構想力の重要性を訴えた。また、イノベーションは、企業規模の大小にかかわらず、スケール化の速度が重要と強調。そのためには、官僚制組織を必要とする規模の経済性の追求と、官僚主義を廃した社員の自律性・自発性の矛盾の超越が課題という考えを示した。
対談
海外における大企業の
イノベーションから学ぶ
日本企業のとるべきアクション
IBMの嶋田敬一郎氏は、2013年にドイツで設立されて以来、短期間で欧州最大級のモバイル銀行に成長した「N26」の女性CPO(最高人材活用責任者)、ノア・ヴァン・ボーヴェン氏を迎え、ダイバーシティーの確保など、イノベーションを支える人材戦略を聞いた。N26は、世界20カ国以上に展開、約900人の従業員の出身国は約60カ国に及び、自律性のある働き方、自分の意見を自由に発言できる文化など、さまざまな期待に応えるマネジメントで、ミレニアル世代の若者、国際的大企業からの転職者など、多様性に富む人材を集めている。日本企業の女性役員の少なさについて問われたボーヴェン氏は「社員は顧客の考えを反映する必要がある。女性社員が少ないということは、優秀な人材を逃すだけでなく、女性顧客のベースを失うことにつながる」と述べ、採用では男女均等にする工夫をしていると述べた。また、日本企業の人材流動性が低いことについて、離職率が低いことは、企業にとって人材のROIではよい面もあるが、「新たに入社した社員のフレッシュな考えに耳を傾けることがイノベーションには必要。インターンシップで若い人を取り込んだり、企業間の社員交換プログラムなどで社外経験を積ませる施策もある」と指摘。「日本の物事の考え方を発信しながら、海外からアイデアを受信する双方向性が大切」と語った。