企業価値を最大化するための不動産戦略とは? 保有資産を「攻めの武器」へ変える方法

拡大
縮小

特別講演
2020日本経済の行方

日本総合研究所
チェアマン・エメリタス(名誉理事長)
高橋 進氏

日本総研の高橋進氏は、今後の日本経済の見通しを解説。19年10月の消費増税による経済への影響はネットで2兆円程度だが、それを上回る景気対策により、落ち込みは抑えられると予想。20年に向けた特需が終わる公共事業の減少も、インバウンド関連の宿泊施設など堅調な民間需要に支えられ、19、20年度の実質GDP予想成長率はプラス0.9%(日本総研試算)で、「国内景気要因はそれほど心配ない」とする見解を示した。

一方、海外は不安要因が多い。米中貿易摩擦はテクノロジーをめぐる覇権争いに発展し、5G通信基地局は、安全保障を含む情報漏洩を危惧して、中国製機器を締め出す米国や同盟国と、コスト重視の新興国とに二分され、今後も「ハイテク分野の摩擦は続くと見られる」と述べた。

日本経済の構造要因は、デフレ脱却だけでなく、将来を見据えた持続的な経済財政基盤固めという、さらに重要な課題がある。22年には団塊世代が後期高齢者になり始め、医療介護費の膨張が予想されることから「その前に、全世代型社会保障への改革を急ぐべき」と主張。

また、下降傾向の潜在成長率を引き上げるため、政府が提唱する「ソサエティ5.0」をはじめとする生産性向上改革の必要性を強調した。デジタル技術を使った行政サービス効率化のほか、プライバシーを守って個人データを活用し、製造、医療介護の現場データと合わせた官民連携でのソリューション創出にも期待していると語る。

今後の不動産については、インバウンド需要に対応したインフラ供給、都心再開発の周辺エリアへの拡大などで「大都市圏にダイナミズムを感じる」と言及。「まちづくりの視点から自治体は、遊休不動産の売却よりも活用を考えるようになってきた」として、データを使って不動産活用を高度化する不動産テックに注目した。

お問い合わせ
東急リバブル
ソリューション事業本部