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企業価値を最大化するための不動産戦略とは? 保有資産を「攻めの武器」へ変える方法

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  • 東急リバブル 制作:東洋経済企画広告制作チーム
企業価値を最大化するために、企業が保有する不動産(CRE、Corporate Real Estate)をより積極的に活用していこうという「CRE戦略」に注目が集まっている。東京・港区で開かれた「不動産戦略2020」では、識者や不動産活用支援のサービスを提供する事業者らがCRE戦略について講演。オープニングで東洋経済新報社の田北浩章・常務取締役は「自社ビルを保有しているだけの時代は終わり、空間をきちんと活用する意識を持つ必要がある」とあいさつした。
主催:東洋経済新報社
協賛:東急リバブル ソリューション事業本部

CRE最前線
企業における不動産活用戦略の最前線
-企業不動産は所有から利活用の時代へ-

日本大学
経済学部 教授
山崎 福寿氏

国土交通省の「合理的なCRE戦略の推進に関する研究会」(2007~08年)座長として、CRE戦略実践の「ガイドライン」や「手引き」を取りまとめた日本大学の山崎福寿氏がCRE戦略が注目される理由を説明。資金調達手段の多様化により、借入の担保としての企業不動産の意義が低下したことに加え、活用されていない不動産を取得する狙いでM&Aされるリスク、株主利益への関心の高まりから「企業は不動産を有効活用して企業価値を最大化することが求められている」と述べた。

企業の間では、金融テクノロジーの発展や、2000年代の信託法改正などの制度整備によって可能になった不動産の証券化を実施、自社ビルを証券化してバランスシートの資産から外して資本効率を上げる、オフバランスの取り組みも進んでおり「金融資産と不動産の違いが縮小している」と指摘した。

また、定期借家権制度の導入により、借り手について情報収集するためのエージェンシーコストや、貸し手側のリスクが抑えられたことで、賃借料と保有コストとの差が縮まり、オフィス需要の変化に柔軟に対応できる賃貸のメリットが相対的に大きくなった。

その結果、スペースを有効に活用できていない自社ビルは証券化して貸し出し、適切な広さの賃貸オフィスに移転。利用時間が短いスペースを生む元になっている、営業部門オフィスや会議室は、時間貸しのシェアオフィスやコワーキングオフィスなどの不動産テックサービスの利用で対応することも可能になってきた。山崎氏は「シェアオフィスで社外の人とのネットワークを築ければ、ビジネス機会も広がるかもしれない。CRE戦略が資産の移動を促し、生産性の高い不動産利用への変化をもたらすことに期待したい」と語った。

企業価値最大化セッション
『稼ぐ力』を高める不動産戦略のあり方

東急リバブル
常務執行役員
ソリューション事業本部
副本部長 兼 営業統括部長
柿沼 徹也氏

東急リバブルの柿沼徹也氏は「遊休資産の売却が主流となっていた企業の不動産戦略の常識が変わってきた」と指摘。働き方改革や生産性向上を図るため、企業の不動産に関するニーズは多様化している。サテライトオフィスやシェアオフィスが増加し、統廃合が進んでいた社員寮のニーズは復活。約40社の社員が入居、交流できるシェアハウスのような社員寮も登場した。所有する不動産をホテルなどにコンバージョン(用途変更)して資産価値を高めたり、本業を補完する新たな収益源として不動産投資に参入するなど、収益機会の拡大を図る企業も増えている。柿沼氏は「社会環境の変化によって、遊休資産が優良資産に生まれ変わる可能性が出てきた。新たな価値を生み出せないか、今こそ保有不動産を経営資源として見直すべき」と訴えた。しかし、そのための知識や人材などのリソースが社内になく、踏み出せない企業は多い。同社は、そうした企業を支援し、実績を重ねてきた。

全国に保有する営業拠点の老朽化に伴い、賃貸オフィスへの移転を計画した保険会社のケースでは、顧客に代わり、移転先、売却先を探すプロジェクトチームを立ち上げ、200カ所以上の営業所移転を短期で成功させた。ブランド発信拠点となる都心の物件探しに苦戦するメーカーには、同社が開発した店舗付き賃貸マンションを提案し、希望エリアでの出店とともに収益物件による本業の補完を実現。流動性が低い全国170の整備工場付き店舗の所有者が売却を希望した案件では、テナントの高い信用力に着目して賃貸借契約の見直しを行い、安定収益を期待できる投資物件として、国内外の投資法人、地元金融機関などへ売却した。

不動産市場は、人口動態やインフラ整備状況、金融政策などの影響を受けやすく、エリアごとに、ヒト、モノ、カネの動きには違いがあり、不動産価値の多様化が進んでいる。

柿沼氏は「不動産戦略には、社会の変化や新たな動向を把握することが重要だ。2020年以降も市場は概ね堅調な推移が見込まれる。安定している今のうちに、まずは自社不動産の状態や価値を正しく知り、戦略立案を」と語り、同社が提供する3つの不動産サービス――保有不動産のリスクや状態を知る「調査サービス」、実勢価格を算出する「評価サービス」、事業用不動産の保有コストを診断し、コスト削減策なども提案する「コスト診断サービス」――を紹介。「私たちは、企業の不動産をめぐる課題を解決し、一緒に企業価値を高めるための戦略を考えるパートナーになれる」とアピールした。

特別講演
2020日本経済の行方

日本総合研究所
チェアマン・エメリタス(名誉理事長)
高橋 進氏

日本総研の高橋進氏は、今後の日本経済の見通しを解説。19年10月の消費増税による経済への影響はネットで2兆円程度だが、それを上回る景気対策により、落ち込みは抑えられると予想。20年に向けた特需が終わる公共事業の減少も、インバウンド関連の宿泊施設など堅調な民間需要に支えられ、19、20年度の実質GDP予想成長率はプラス0.9%(日本総研試算)で、「国内景気要因はそれほど心配ない」とする見解を示した。

一方、海外は不安要因が多い。米中貿易摩擦はテクノロジーをめぐる覇権争いに発展し、5G通信基地局は、安全保障を含む情報漏洩を危惧して、中国製機器を締め出す米国や同盟国と、コスト重視の新興国とに二分され、今後も「ハイテク分野の摩擦は続くと見られる」と述べた。

日本経済の構造要因は、デフレ脱却だけでなく、将来を見据えた持続的な経済財政基盤固めという、さらに重要な課題がある。22年には団塊世代が後期高齢者になり始め、医療介護費の膨張が予想されることから「その前に、全世代型社会保障への改革を急ぐべき」と主張。

また、下降傾向の潜在成長率を引き上げるため、政府が提唱する「ソサエティ5.0」をはじめとする生産性向上改革の必要性を強調した。デジタル技術を使った行政サービス効率化のほか、プライバシーを守って個人データを活用し、製造、医療介護の現場データと合わせた官民連携でのソリューション創出にも期待していると語る。

今後の不動産については、インバウンド需要に対応したインフラ供給、都心再開発の周辺エリアへの拡大などで「大都市圏にダイナミズムを感じる」と言及。「まちづくりの視点から自治体は、遊休不動産の売却よりも活用を考えるようになってきた」として、データを使って不動産活用を高度化する不動産テックに注目した。