インドネシアフォーラム in ジャカルタ
インドネシア
現地法人におけるマネジメント強化の実践
税務・財務・法務・労務
それぞれのリスク検証から見えてくる日本企業飛躍の条件
【講演Ⅲ】
インドネシアの法務リスクの捉え方
新興国では法による紛争解決が機能していないことが多く、法や契約を遵守しているだけでは法務リスクを回避できないことがあると語るのは、長島・大野・常松法律事務所の福井信雄氏。法が機能しているかどうかを測る指標としては、法令整備の状況、法令解釈の明確性・安定性、法の執行の確実性の三つがある。インドネシアでは、会社分割など法律があっても施行規則が制定されていないため実務的に機能していない制度があること、法令解釈が同一官庁の行政官でも異なる場合が往々にしてあること、執行に関しても民事手続法の整備が不十分であると指摘した。進出企業は、個々の直面する法務問題の性質を分析的な視点で見極め、新興国の事情も加味したうえで、合理的と評価できる経営判断をすることが求められるとも語った。
【特別講演】
東レのインドネシア事業 ―期待と苦悩―
1970年代初めから当地に進出し、繊維事業を展開してきた東レ。大河原秀康氏は、これまで、2度の危機に直面したことを明らかにした。最初は世界景気が後退した80年代。為替変動のダメージもあったが、財務構造の改革と輸出主体への事業転換で乗り切ったと紹介。収益が改善し、攻めの施策を実施し、外資法の改正を受けて現地パートナーとの合弁は解消したと続けた。2度目の危機は、世界の繊維産業が中国にシフトした2000年前後。この時は、一貫生産工程を持っているグループの強みを発揮すれば改革で立ち直れると判断し、規模の適正化やコスト削減などで乗り切ったと振り返った。今後は水処理、医療機器などの事業にも力を入れ、インドネシアの発展にもより一層貢献していきたいと抱負を述べて、講演を終えた。