デジタル変革と次世代ERP 「2025年の崖」を乗り越えるために

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導入から20年が過ぎた企業の基幹システムの老朽化が進み、メンテナンス技術者も枯渇して最大12兆円もの経済損失が発生すると経済産業省DXレポートが予想した「2025年の崖」に備えるとともに、デジタル化時代に対応するため「次世代ERP」の検討が始まっている。東京・千代田区で開かれた「デジタル変革と次世代ERP」では、これからのERPについてアドバイス。オープニングで東洋経済新報社の田北浩章・常務取締役は「デジタル化時代は、経営の質向上を目指したデータ活用が求められる」とあいさつした。
主催:東洋経済新報社
協力:KPMGジャパン、日本マイクロソフト、Annata、三菱電機インフォメーションシステムズ

基調講演
デジタル変革の今
~デジタル変革を企業はどのように捉え、どのように推進すべきか?
今、企業が取り組むべきデジタル変革のアプローチとは?~

KPMGジャパン
チーフ・デジタル・オフィサー
KPMGイグニション東京統括責任者
秋元 比斗志氏

KPMGの秋元比斗志氏は、商品・サービスをそれぞれの顧客にカスタマイズし、マッチングで顧客が提供者を選ぶデジタル時代は、データが最重要と指摘。既存事業依存を脱し、新しいビジネスをつくるには、会社の仕組みを再構築し、データサイエンティストらの採用、外部との協業でデータ活用のケーパビリティーを高めるよう求めた。日本企業のイノベーションラボが成果を出せないのは、テクノロジーばかりを見て、組織が対応していないから、と経営の関与を強調。次世代ERPは、現状の業務プロセスをシステムに乗せることを重視した過去のERPと異なり、データを収集・分析して、ビジネスに還元する観点で導入すべきと訴えた。KPMGも、ソリューション創発を促すイノベーション促進施設「KPMGイグニション東京」で、データエンジニアらを交えた議論を通じ、データ活用による自社のバリュー向上や、課題解決の最適な方法を顧客企業に考えてもらうための支援をするとアピールした。

セッションI
デジタル変革に備える次世代ERPの姿とは
~日々進化するデジタル変革(AI,IoT,RPA・・)と現場利用者の要望を叶える生産性の高い次世代ERPの姿を考える~

KPMGコンサルティング
ITアドバイザリー
シニアマネジャー
豊田 直樹氏

KPMGの豊田直樹氏は、ビッグデータをAIに学習させ、経営が新たな示唆を得る時代になるとして、次世代ERPは、あらゆるデータを蓄積する統合データベースを中心に構築し、AI分析、IoTによるデータ自動収集の仕組みを整え、RPAも活用した業務効率化で人材リソースを最適化する必要を訴えた。今のERPは、現場に合わせたアドオンを作りすぎてメンテナンス負荷が多大になった反省から、クラウド型ERPを標準パッケージのまま使い、標準化ができない部分は、別に設けたサイロ化を容認するインターフェースからデータベースにつなぐことを提案。「2025年の崖」による、企業IT人材の枯渇は23年ごろから深刻化すると予想し、早急な構想策定、クラウド上の機能の段階的切り替えを推奨した。その準備として、全社の業務・システムを可視化、課題を抽出し、企業の具体的な変革方向性を示唆する『あるべきERP』を提示し、次世代ERPの必要性を経営層に提言する情報を整理する「次世代ERPアセスメントサービス」の活用を促した。

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