
主催:東洋経済新報社
協力:KPMGジャパン、日本マイクロソフト、Annata、三菱電機インフォメーションシステムズ
基調講演
デジタル変革の今
~デジタル変革を企業はどのように捉え、どのように推進すべきか?
今、企業が取り組むべきデジタル変革のアプローチとは?~
チーフ・デジタル・オフィサー
KPMGイグニション東京統括責任者
秋元 比斗志氏
KPMGの秋元比斗志氏は、商品・サービスをそれぞれの顧客にカスタマイズし、マッチングで顧客が提供者を選ぶデジタル時代は、データが最重要と指摘。既存事業依存を脱し、新しいビジネスをつくるには、会社の仕組みを再構築し、データサイエンティストらの採用、外部との協業でデータ活用のケーパビリティーを高めるよう求めた。日本企業のイノベーションラボが成果を出せないのは、テクノロジーばかりを見て、組織が対応していないから、と経営の関与を強調。次世代ERPは、現状の業務プロセスをシステムに乗せることを重視した過去のERPと異なり、データを収集・分析して、ビジネスに還元する観点で導入すべきと訴えた。KPMGも、ソリューション創発を促すイノベーション促進施設「KPMGイグニション東京」で、データエンジニアらを交えた議論を通じ、データ活用による自社のバリュー向上や、課題解決の最適な方法を顧客企業に考えてもらうための支援をするとアピールした。
セッションI
デジタル変革に備える次世代ERPの姿とは
~日々進化するデジタル変革(AI,IoT,RPA・・)と現場利用者の要望を叶える生産性の高い次世代ERPの姿を考える~
ITアドバイザリー
シニアマネジャー
豊田 直樹氏
KPMGの豊田直樹氏は、ビッグデータをAIに学習させ、経営が新たな示唆を得る時代になるとして、次世代ERPは、あらゆるデータを蓄積する統合データベースを中心に構築し、AI分析、IoTによるデータ自動収集の仕組みを整え、RPAも活用した業務効率化で人材リソースを最適化する必要を訴えた。今のERPは、現場に合わせたアドオンを作りすぎてメンテナンス負荷が多大になった反省から、クラウド型ERPを標準パッケージのまま使い、標準化ができない部分は、別に設けたサイロ化を容認するインターフェースからデータベースにつなぐことを提案。「2025年の崖」による、企業IT人材の枯渇は23年ごろから深刻化すると予想し、早急な構想策定、クラウド上の機能の段階的切り替えを推奨した。その準備として、全社の業務・システムを可視化、課題を抽出し、企業の具体的な変革方向性を示唆する『あるべきERP』を提示し、次世代ERPの必要性を経営層に提言する情報を整理する「次世代ERPアセスメントサービス」の活用を促した。
セッションII
デジタル時代のマイクロソフトプラットフォーム戦略とビジネスアプリケーション
~企業システムに求められる基幹プラットフォームとは何か MS戦略と先進の事例紹介~
マーケティング&オペレーションズ Dynamicsビジネス本部 本部長
大谷 健氏
カントリーゼネラルマネージャー&Regional Director, North Asia
岡 寛美氏
マイクロソフトの大谷健氏は、デジタル変革には、レガシーシステムに閉じ込められているデータの刷新が必要と強調。異なるERP間でデータを連携可能な形にするオープン・データ・モデルの動きに言及した。同社クラウド型ERP「Dynamics 365」は、コネクターを使って既存ERPからデータを取り出せる。またERPにデータを蓄積、活用するため、専門知識がなくても業務アプリを作ったり、データの収集・加工の自動化、可視化(BI)・分析機能(AI)を備えたPower Platformを提供している。「今後はシステムを作り込むと、激しい変化に対応できなくなる」とグローバル標準化システムの利用を呼びかけた。
Dynamics 365のソリューション提供パートナー、Annataの岡寛美氏は、長寿命な産業機器を「デバイス」と捉えてライフサイクルで管理する「Annata 365」について、デバイスごとに販売、アフターサービスなどのデータを見える化して蓄積、AI分析した結果は売上向上などに役立つと説明。データのテンプレートを統一し、サブスクリプション事業のグローバル展開に活用している建機メーカーの例を紹介した。
セッションIII
SAPのマイグレーションの勘所
~2025年の保守切れを迎えるSAP、次世代ERPのマイグレーションアプローチとは?~
産業・サービス事業本部 産業第一事業部
シニア・サーティファイド・プロフェッショナル
中塚 善之氏
三菱電機インフォメーションシステムズの中塚善之氏は、デジタル変革と2025年の崖の保守期限という2つの問題から迫られる「レガシーシステムから次世代ERPへの移行」について、現行ERPを止めて新環境に移るリビルド(作り直し)と、現行ERPを動かし続けられるようにするコンバージョン(変換)、の2通りのアプローチを挙げた。現行ERPがコンパクトに作られていて、導入効果を最大化できていればコンバージョン。アドオンが多く、システムが複雑化・肥大化している場合はリビルド、という選択の目安を提示。また、標準化されたプロセスで、最新のデータを使って、経営管理のシミュレーション・分析を可能にしたり、製造現場の問題箇所の発見に役立てている「コンパクトなERP」の成功例を説明した。同社提供の、現状システムのシンプル度アセスメントを早急に受け、時間切れのコンバージョンになる前に、アプローチを決断するよう呼びかけた。
ディスカッション
検証! デジタル変革と次世代ERP
最後に、登壇した5人が次世代ERPへの刷新の進め方や、グローバル展開についてパネルディスカッションした。岡氏は「新たなシステムは、現場から反対されやすく、トップがもり立てることが必要。Annataは、海外のベストプラクティスを製品の一部として提供している」と述べた。中塚氏は「シンプルなERPを実現し、デジタル変革に対応できる組織は、スモールスタートして、拡張、グローバルへの展開が速い特徴がある。まずは、アセスメント、PoC(概念実証)を始めることが大事」と訴えた。豊田氏は「まず、現状を可視化し、システムが変われば楽になると現場を説得し、経営を納得させる材料をそろえること」を提案。グローバル標準化は「データを統一するマスターモデル作りが起点になる」と述べた。大谷氏は「クラウドによってデータを活用した新たなビジネスモデルが登場している。当社プラットフォームに共通モデルで保存したデータは、他社のツールを使った分析、活用もできる」とクラウド化を促した。モデレーターの秋元氏は「クラウドのスピードのメリットを享受するには標準化が大事になる」と締めくくった。